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メンタルヘルス不全を防ぐ部下との関わり方

メンタルヘルス不全を防ぐ部下との関わり方は、部下が「明日もこのチームで働きたい! 」「今の仕事はたいへんだけど、がんばろう!」と思えるかが鍵です。そして、部下が抱えている悩みや不安を素直に上司に相談できるかが大事です。そのために、部下と信頼関係を構築し、質の高いコミュニケーションを取っていきましょう。

受容と共感的理解が大事!

あなたは、部下からの報告や相談に対して、手を止めて顔を見て話をしっかり聴いていますか?
PCの画面を見ながら、眉間にしわを寄せ「なるほどねー、で言いたいことは何だっけ?」とか反応していませんか? そのような反応が続くと、部下は上司と話しても面白くなく、報告や相談する機会もだんだんと少なくなってきます。そのうち、報告や相談はメールでのやり取りで終えようとして、部下は自身が抱えている悩みや不安を相談出来ずに一人で抱え、それが積み重なるとメンタル不調に繋がります。
まずは、部下と話す時は、身体を部下に向け、顔を見て話を聴きましょう。そして、部下の意見や考えをしっかり受け容れましょう。例えば、部下が「最近疲れているんですよ」と言ったら、「そっかー、疲れているんだね。最近休みも取らずにがんばっているよね。」と部下が言った言葉を繰り返すことによって、部下は上司が話を聴いてくれていると感じます。また、話を聴く際に、あいづち、うなづきの反応を行うと、部下は「上司はしっかり聴いてくれる人」と認識し、上司に対する信頼感が高まってきます。

更に、部下の話を彼らの立場に立ち、彼らの気持ちに共感しながら聴くということが大事です。部下が今どんなふうに感じているのか、どんな気持ちになっているのかに関心を寄せてみてください。上記の言葉を繰り返す際にも、特にこの気持ちの部分を繰り返すと、部下の安心感が高まります。
なお、共感とは、相手の気持ちを汲むことであり、相手と同じ考え・気持ちであるという同感とは異なります。

これらの受容と共感的理解は、所謂「傾聴」の要素です。傾聴が出来るようになるには時間がかかりますが、まずは顔を見てしっかりうなづきながら話を聴くなど、出来るところから始めてみてください。

心の栄養となるプラスのストロークを与えよう!

部下とのコミュニケーションを考える上で、心理学者エリックバーンズが提唱している交流分析の「ストローク」を紹介します。
ストロークとは、「その人の存在や価値を認める言動や働きかけのこと」です。これは「心の栄養物」とも言われ、人が生きていく上で必要不可欠もので、我々はこのストロークを求め、常にストロークを交換しています。

ストロークにはいろいろな種類がありますが、大きく分類すると、プラス(肯定的)のストローク、マイナス(否定的)のストロークの二つになります。プラスのストロークは、相手に幸福感と喜びを与え、自分の存在に意味を感じさせ、これを受ける人は、それを心の糧に成長します。一方、マイナスのストロークは、「あなたはだめだ」というメッセージを送るもので、相手を不愉快で憂うつな気持ちにさせ、自身を失わせます。
また、相手の行為に対するストロークを条件付きストローク、相手の存在自体へのストロークと無条件のストロークと言います。
(参考:「看護に活かす交流分析」白井幸子著(医学書院 ))

プラスのストロークは、笑顔で挨拶をする、励ます、ほめる、うなづく など、上記の受容と共感的理解もこのプラスのストロークに含まれます。
マイナスのストロークは、返事をしない、無視する、にらみつける、叱る、非難する、責めるなどです。部下に対して、自分の存在や価値観を否定されるマイナスのストロークを続けていると、部下はメンタル不全になっていきます。とは言え、仕事をしている中では、何かミスをした時に注意や叱るといった条件付きのマイナスのストロークを与える場面もあると思います。そのような場合には、単にマイナスのストロークで終えるのではなく、最後に「応援しているよ」と微笑むなどのプラスのストロークを与えると、部下は上司の言動を受け取り易くなり、部下のストレスを軽減できます。
今自分がどんなストロークを部下に与えているのかを意識し、出来るだけプラスのストロークを多く与えていってください。

部下のことを知って変化に気づこう!

部下のメンタル不全を防ぐためには、部下の変化に気づいて声がけをすることが大事です。例えば、挨拶の時に目を見なくなった、以前より声が小さくなった、普段より顔色が悪い、時間にルーズになってきた などメンタル不全の予兆は、部下のちょっとした変化に現れます。
そのためには、部下の普段の仕事ぶりや、仕事以外のこともしっかり把握しておく必要があります。

あなたは、部下のことをどれだけ知っていますか?
・部下の性格や働き方は?
・部下の強みは? それを活かせる場面は?
・部下が仕事でこだわっていることは?大事にしていることは?
・部下の夢は? 将来やりたいことは何か?
・学生時代に夢中になってやっていたことは?
・部下の休日の過ごし方は? 趣味は? など
これらの質問にどれだけ答えられるでしょうか。

部下とのコミュニケーションは、面談や仕事の指示・確認などフォーマルな場だけでなく、普段の雑談も大事です。そして、話す時間を意識するのではなく、話す頻度が多いほど信頼関係が高まります。また、一方的に部下のことを聞くのではなく、上司自身のこと、例えば自分がこだわっていることやプライベートのこと等を自己開示しながら話してみてください。
部下は、「上司は自分のことに関心を持ってくれているんだ」「この組織・チームに居ていいんだ」と感じ、安心感が増します。
部下は、自分の悩みや不安を上司に相談し易くなり、合わせて上司側も部下の変化に気づきやすくなります。

現在、リモートワークや客先常駐などにより、上司と部下が直接顔を合わして話す機会が減っており、コミュニケーション方法を見直す必要があります。チャットやオンライン会議などのコミュニケーションツールを上手く使いながら、上記3つのポイントを意識してコミュニケーションをとってみてください。


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