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行動を変えるデザイン①

読書して面白いと思った本について、勉強目的で自分なりにまとめつつ、書いていきたいと思います。

記念すべき第1回目は、「行動を変えるデザイン 〜心理学と行動経済学をプロダクトデザインに活用する〜」についてです。

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こちらの本、非常にページ数も多く、各章が非常に勉強になるため、数回に分けて書いてみたいと思います。

0. 本書を選んだ理由

まずはじめに、本書を読もうと思ったきっかけについて書きます。

元々私は、人とロボットの関係に興味を持っており、大学や企業にて研究を続ける中でロボットではなく、人自身の不思議さに興味をましているという今日この頃です。特に人間の行動・習慣に興味を持っており、それらをテクノロジーやデザインによって自在に制御できないかと思っています。

そんなに人間が甘くないことは百も承知の上で、学べる知識やノウハウがあるのであれば、身につけていこうと思っており、本書を読みました。

1. 全体について

本書は主に、行動変容デザインというものを扱っていますが、どんな要素から成り立つのかを説明したのが以下の図であり、「行動経済学と心理学」という学問、「プロダクト開発とUX」という実践的な開発、「定量・定性データ分析」という厳密なデータ分析が融合されたモノです。昨今流行の行動経済学・心理学からメカニズムを理解しながら、実践的なプロダクトを作り、厳密なデータ分析によって、改善しユーザの行動・習慣を変えていくことが求められます。

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そして、行動変容デザインをするためのサイクルは以下のような流れで表され、各プロセスやステージに応じて生み出される成果物を示しています。

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①理解する:行動変容を促すためにまず必要なのが、我々がどのように意思決定を行なっているか、ヒトの認知メカニズムがどのように行動を変えるのを助けてくれるのかを理解することが重要です。ここでは、本書の特徴の一つである、「行動するための前提条件:CREATEアクションファネル」というものを簡単にご紹介します。

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「CREATEアクションファネル」というのは、ユーザが行動するまでの心の様子を説明したものであり、主に5つの心のイベントがあります。それが「Cue」「Reaction」「Evaluation」「Ability」「Timing」です。各ステップごとにユーザの行動の実行から離脱する要素が存在し、これらを乗り越えてようやく行動を実行する「Execute」を生み出すことができると説明されています。これら5つの心のイベントと「Execute」の頭文字を取り、CREATEとなっています。

この流れがたった一つの行動を起こすだけでも発生するため、いかに人が行動するのが難しいのかが分かると思います。特に昨今の情報過多の状況では、常に気が散る原因が存在しています。

新しい習慣を創り出すためには、この行動を実行するまでの流れを何度も繰り返すことで、ユーザを自動操縦状態にする必要があるのです。

ただ、このように行動を起こすまでの心の動きを見える化することによって、プロダクト開発において気をつける視点が少しクリアになった気がしています。(難しいのは間違い無いですが。。。)

CREATEアクションファネルのより突っ込んだ内容については、次回の投稿に書きたいと思います。

②探索する:さて、行動変容デザインを行うためのサイクルについてですが、①理解するの次に来るのが、この「探索する」です。我々の意思決定の仕方や認知メカニズムを理解した上で、次に重要なのは、当たり前のことではありますが、プロダクトを通じて「誰の」「何を」実現したいのかを明確にすることです。これらを「ターゲットアクター」「ターゲットアクション」と呼びます。

③デザインする:ターゲットが決まったら、実際にプロダクトを構築するためにデザインを行います。このステップには2つの工程があり、「コンセプトデザイン」と「インタフェースデザイン」です。コンセプトデザインでは、ビヘイビアプランと呼ばれる、ユーザのプロダクトへの関わり方のストーリーを創ります。そして、インタフェースデザインでは、ビヘイビアプランの各項目に沿って、実際にプロダクトを創っていきます。

④改善する:この辺りは、当たり前の話かもしれませんが、実際にテスト可能なプロダクトを用いて、ユーザ行動における定量・定性データを集めて、注意深くデータ分析をすることで、インサイトやアイデアを出し、プロダクトを修正していきます。この時に重要なのが、修正のたびにユーザ行動への効果が具体的にどう変わったのかを測定することです。

上記のステップを何度も繰り返すことで、行動変容デザインを行うことができ、実際にプロダクトを通じてユーザの行動をかえていくことができるようです。


今回は第1回目ということで、ザクッと全体的な部分についてのみ書いてみました。次回からは、もう少し各ステップにおいて、興味を持った部分について書いていこうと思います。

こういった分野にご興味ある方は、ぜひ読んでみてください。



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