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いざ、呉服屋さんへ←過ちの始まり

母の死後、20年の時を経て着物を着てみたい!と思った私はすでに60歳。。。
最後に着物を着た(着せてもらった)のは四半世紀以上前のこと。
廃棄しようと母の着物を掘っくり返してみたものの、自分の寸法とは合わないと知り、ほとんどは友人の手に託しました。
しかし、なんとも粋な着物が一枚あり、手元に残したらなんとかなるだろうか?おそらくはお気に入りの一枚だったんだろうなと、見れば見るほど気になるんですよ。
かなり着込んだ様子もあり、裏地はかなり汚れと傷みがあるし、さて、どうしたものかと…
またまたくだんの友人に相談してみたところ、彼女の御用達の呉服屋さんを紹介され、
洗い直しや修復ができるかどうか聞いてみることにしました。
さあ、これが間違い[その1]ですよ。

着物を着てみたいな
なんか可愛いよね
ちょっと憧れるけど勇気が出ない
そんなあなた!
決して呉服屋さんに行ってはいけません。笑
タワマンにお住まいで、海外にも毎月のように行けて、ローンなど組まずとも高級品を現金で買えるなら別ですけど、ごく普通に慎ましく生活していて、今月の光熱費が先月より500円も高い!なんてびっくりする生活をしているなら(私のことです)絶対に呉服屋さんに行っては行けません。

話を元に戻しましょう。
私が持ち込んだ着物は残念ながら修復不可能と言われました。
確かに裏地は素人目にもシミがわかりましたし、保管臭(カビ臭いというのではないけれど、樟脳の香りと埃臭さがありました)もありましたから、期待はしていませんでした。
ただ、私は昭和の人間です。
自分の用事が終わったから、はい!失礼しま〜す!とは言えなくて、担当者さんと世間話などを始めてしまったんですね。
すると、展示会が終わったばかりでがらんとした店の中に一際目立つ反物が目に入ったのです。
後で知ったのですが、呉服屋さんは1ヶ月か2ヶ月おきに展示会を開催しています。取引のある問屋さんが反物を山ほど持ってお店で展示会と称して並べます。時には無料のお茶会やお土産で釣って(言葉悪くてすみません)あかりに惹かれてふらりと入ってしまった夏の虫のようなお客を(私のことです)決して逃しません。笑
私がふと気になった布は
「大島紬」でした。
超が5つつく着物初心者の私でも大島紬が高価な品であることは知っていました。
昔、母が話していたのを聞いていたからです。「この大島はね、ものすごく高価なんだけど、どんなに高価でも紬は紬だから正式な場所には着られないんだよ。」
「へぇ?着物って格差があるの?」
「一番格上が黒の留袖だね。嫁に行く時、黒留は一枚持ってないとねぇ。でも、紋は入れない方がいいねぇ。」
当時の私にはちんぷんかんぷんな話でした。

そんな遠い昔の会話を思い出しつつ、
大島紬に触れてしまい、指先に電流が走ったのです。
いや、静電気ではありませんよ。
え?母が持っていた大島紬ってゴワゴワして地味でいかにも普段着って感じだったけど、
ツルツルすべすべで光沢があって綺麗じゃない?

さあ、もうご想像がつきましたね。
私の驚きと憧れの表情を担当者が見逃すはずがないのです。

とにかく、体に当てるだけでも!
いやいや、買えないから!

押し問答の末、
嘘つき襟やら腰紐やらがあっという間に用意され、姿見の前に立たされて、「完成すると
こうなりますよ〜」という魔術師のような着付けが始まったのでした。
「飛んで火に入る夏の虫」を体現してしまった私です。

話の続きは次回に譲るとして、

今日の着物②
今日の和洋折衷コーデはこんな感じ。

襦袢の代わりに白のブラウスを着ています。
袖が短いので何か良い方法はないかと探って、アームカバーを付けてみました。
帯は半幅帯でカルタ結び。これ、初心者にはオススメです。
帯締めの代わりにプチプライスのベルト。
着物も羽織もオークションで落札。着物は9枚セットで1100円。9枚中8枚が着られました。保管臭やシミがひどいものはリメイクに回します。羽織や道中着も10枚セットで、こちらはなんと1円で落札。送料が1400円。着物が気の毒になるお値段です。

こんなお値段で毎日ワクワク楽しめるなんて…
ね!着物を楽しまないという選択はないでしょー。

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