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Hugと、かとりせんこう。



ばぁちゃんは心配症だった。


小さい頃からすぐに居なくなる
わたしを見つける天才で、

みんなが寝たのを確認しないと寝ない人で、

みんながちゃんとご飯を食べてからじゃないと食べない人だった。


とっても心配症だったから、

だから、

小学校1年生の登校班に、

必ず途中まで
後をつけてくれていた。


らしい。

(当の本人は気づいて居ない笑)

みぎとひだりが
すぐに分からなくなる子だったから

ハラハラしてたらしくって、

今でも自分にハラハラするから

今なら

ばぁちゃんの気持ちが
わかる。笑


そんなばぁちゃんの
スパイは

見事にわたしの友達にバレる。




「おばぁちゃん、ついてきてるよ」



と言われて

後ろを振り返ると


ハッ

としている
ばぁちゃん。


小学校になって、

ひとりでできるもん!

おねぇちゃん気分だったわたしは、

なんだかその時

とっても

悔しくて、

悲しかった。



ひとりで出来ていると
思っていたぁぁぁあーーーー
ガーーーーーーーーーン


という感じ。


だから

わたしは
その日、

おうちでばぁちゃんに



怒った。


「なんでついてくるん!!ひとりでできるもん!!」



今考えると胸が痛い。


なんであんなことば、

言っちゃったんだろう、、、

と思うんだけど、


その時のわたしは


たぶん

もうひとりでできるんだよ!
おねぇちゃんなんだよ!
信じて!!!!

って思っていたんだと思う。


ばぁちゃんは

その日から


スパイを辞めた。



今なら
少しだけ、
大人の気持ちが
わかるから、


ばぁちゃんきっと

寂しかっただろうな

って思う。



でも次の日を境に

ばぁちゃんと
わたしで

ずっと続く、

伝統儀式が生まれたのである。


それは


ハグ。



スパイがなくなって寂しくなった
ばぁちゃんが急に、

「おうちに帰ったら、毎日ぎゅーしよ」

って

言ってきて、

「何ですると?」

って聞いたら、


「きょうもいちにち、
がんばったね、って
伝えるためと、
だいすき!って
伝えるため!」

と言っていた。



どうやら、

毎日ハグをする親子を

テレビで見て、

憧れたらしい。笑


そんで
その日から、
「ハイ、ぎゅーーーー!」

って爆笑しながら
ハグをした。


なぜかその儀式は途切れることなく、
大人になっても続いた。



そして、

そんな思い出が、

最近、

かとりせんこうの

匂いとともに

蘇ってきたのである。


匂いってすごい。


あの時の感情まで、


取り戻させてくれる。


お仕事をしながら

込み上げてくるものがあったけど


我慢した。



かとりせんこう

肌寒い風は

夏の終わりを知らせてくれた。


ちょっぴり
寂しいけど、

なんだか安心する匂い。


かとりせんこうの
季節も

笑いながら

ハグをしてなぁって思うと

胸が温かくなった。


あの時のかとりせんこうは

きっとばぁちゃんとわたしをみて

にっこりして、

そんで包んでくれてたんだと思う。


「この日のこと、

いつか思い出してねぇ」

って。



この日からわたしは

大切なひとには、

大切なときには、

ハグをしている。



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