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【医療をめぐる本の話】Vol.3 自分らしく生きるコツ。 『心が揺れがちな時代に「私は私」で生きるには』

産婦人科医の高尾美穂先生の存在を知ったのは、テレビの情報番組でした。
インパクトのあるモヒカンスタイルを見て、「一体何をしている人なんだろう??」と興味を持ち、それから先生の人生観や温かな語り口調に、ぐいぐい惹き込まれていきました。

本は出てるかな?と探して見つけたのが、この本。高尾先生の音声配信プラットフォーム、stand.fm「高尾美穂からのリアルボイス」でのトークが1冊にまとまったものです。

『心が揺れがちな時代に「私は私」で生きるには』高尾美穂・著(日経BP)

タイトルだけでも、私に突き刺さりました。「心が揺れがちな時代」、ほんとにそう。毎日グラグラ揺れています。そんなグラグラな私にも、高尾先生は優しい。心が揺れているのは、「誰かと自分を比べているからじゃない?」「他人の期待に応えようとしてるんじゃない?」「自分に自信が持てないからじゃない?」と、そっと声をかけてくれます。

私の場合、人と自分を比べてしまって落ち込むことがほんとによくあります。たとえばライターの仕事でも、「○○さんみたいに早く書けたらなぁ」とか、「もっと○○さんみたいにうまく書けたらなぁ」とか。比べてもどうしようもないことを比べてしまう。

そんな私と同じように、「いつも人と比べてしまう」というリスナーさんからのお悩みに、高尾先生はこう答えています。

私たちにはそれぞれの良さがあり、すべてが他人よりも優れていなくていいのです。他人の優れている部分は「すごいな」と素直に捉えればいいですし、同じように自分のすごい部分や能力を探して、認めてあげることがとても大事です。

比べるのでななくて、素直に「すごいな」と思うこと。そう!そうしたい!!「それなのに私は…」と付け足さなくていい。

何より、隣の芝生は青く見えますが、自分の庭の芝を青くするのは自分以外にいません。自分の生活や人生、考え方を豊かにしていくためには、自分自身の時間を生きるほかにないのです。

「私は私」なのだから、しっかり自分の人生を見つめて生きる。そんな高尾先生の言葉に、ハッとしました。

以前、あるドクターを取材したとき、「人と比べるんじゃなくて、過去の自分と比べるようにしている」とおっしゃっていたのを思い出しました。今の自分が過去の自分よりも前に進んでいるか、過去最高の自分でいるか、が大事だと。

書くのが遅いのなら、毎日少しでも書く時間を作ろう。うまく書けるようになるまで、何度も直して、書き続けよう。「私は私」で努力していこう。そんなふうに前向きに考えられれば、何だか楽になる気がします。

自分の人生を、自分らしい、自分が望む時間に仕上げることができるのは、自分以外にいません。

ーー自分の人生を自分らしく生きてほしい。
それが、この本を通してずっーーと高尾先生が言ってくれていること。あなたにはできるよ、と。
だからこそ、読んで心が軽くなるし、気持ちが切り替わる。そっと背中を押してくれるような本なので、毎日、寝る前に少しずつ読むのがお勧めです。

更年期、産後うつといった「女性の体について」や、「人には聞けない性の悩み」など、産婦人科医から見た医学的なアドバイスも載っています。

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