見出し画像

おはなし茶屋 第8話 和菓子の旬

和菓子には旬があると思う。

それはそうだろう、和菓子は四季を、暦を大切にしているのだから。
そうなんだけれどもそうじゃない旬っていうのを感じた話をしてみたい。


和菓子にはいろんな種類がある。
まんじゅう、ようかん、どら焼き、大福などなど。

もちろんまんじゅうだったら、春は桜やよもぎ、秋には栗や芋、冬には迎春まんじゅうなんてものが出る。だから季節によってさまざまな種類のまんじゅうが出る。
さて、みなさんお気づきだろうか?夏の特徴的なまんじゅうがないことに。
(水まんじゅうがあるじゃないかというお声が飛んできそうだが、葛が原料なので涼菓子とさせて欲しい)

逆にようかんについて考えてほしい。確かにこちらも春には桜を用いたようかんだったり、秋には栗のようかんが出るが、冬のようかんってなんだろう?ってなるし、春夏秋冬でいったらようかんを食べたくなるのは夏だ。


基本的に和菓子全般を売っているお店だとこの2つはよく分かりやすいと思う。一年中並んでるかもしれない。だけれども、なんとなく夏はようかんや冷たいゼリー、ところてんのいわゆる涼果が多く並ぶし、冬になったらあんこを使ったまんじゅうやぜんざい、大福などがお店に並ぶ。実際、夏にはようかんやゼリーがよく売れるし、冬はまんじゅうがよく売れる。

私が働いていたところも和菓子全般を売っているお店だったが、売り上げと比例するようにまんじゅうを作る部署は冬が繁忙期だし、ようかんなど涼果を作る部署は夏が繁忙期。私はまんじゅうを作るところにいたが、夏は自分の部署より、涼果を作る部署にいたこと方が多かった気がする。その代わり、冬はいろんな部署からいろんな人が応援に来てくださっていた。

そういうわけで、私は実際に和菓子の製造現場で働いている時にいわゆる和菓子の旬ではない旬を感じたのである。


ちなみに商品は旬の少し前から作り出すので、店との季節感のギャップに驚いたり、工房が年中暑くて工場の中はあんまり季節感がないのはまた別の機会に…

今回のおはなしはこれで。ではまた次のおはなしでお会いしましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?