書く
書くというのは、二人称をつくりだす試みです。
書くことは、そこにいない人にむかって書くという行為です。
文字をつかって書くことは、目の前にいない人を、じぶんにとってなくてはならぬ存在に変えてゆくことです。
これは、詩人・長田弘さんが自身のエッセイ集『すべてきみに宛てた手紙』の後記に記した言葉。
わたしにとって書くことは、自分を表現する手段だと思っていたけれど、ほんとうは、目の前にいないあなたとつながりたかったんだ。
わたしはたしかに、生きて、呼吸をして、暮らしを営んでいる。
けれど、わたしが自分の輪郭を見つめ直すことができるのは、こんな独りよがりのつぶやきを拾い上げてくれる人がいるから。
だから今、このつぶやきに触れてくれたあなたは、わたしにとってなくてはならない存在だ。
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