やさしさの循環
人を受け入れるにはエネルギーがいる。
わたしはキャパが狭くて自分のことでいっぱいだから、人間関係にエネルギーを使うことが億劫だった。
だから、人と交わらなければいいと思った。そしたら、余計な感情を味わわなくてすむ。
でもその代わり、誰かと楽しみをわかちあうこともない。新しい世界が開けることもない。めくるめく感動を味わうこともない。
それってちょっと退屈だった。いやいや、かなり退屈だった。
だから、試しにちょこっとだけ人と交わってみることにした。
ピシャンと閉じていた窓を、おそるおそる開けていくように、人との交わりを広げていった。そしたら、そこから少しずつ世界がひらけていった。
案の定、エネルギーをめちゃくちゃ使った。人といると疲れるし、いろんな感情が湧いてくるのも厄介だ。何度も人とのつながりを、プチプチと切りたくなった。
でも、人はやさしかった。わたしが思っているよりずっと。
人がひとりで生きるなんて、きっと無理だ。もしかしたらこの世にはそんな強者がいるのかもしれないけど、わたしなんて、たくさんの人に助けてもらって生きている典型的な人間。
わたしも人にやさしくなりたい。キャパはあいかわらず狭いけど、わたしが人に受け入れてもらったぶん、わたしも人を受け入れられるようになりたい。
人と交わると、エネルギーをたくさん消耗する。でもそのぶん、人からエネルギーをたっぷりもらうこともある。だからわたしは、人に疲れたとしても、また人に会いたくなるんだろう。
きっとみんなそうやって、知らず知らずのうちに、あったかいエネルギーを循環させてるんだと思う。
.
よろしければサポートお願いいたします◎いただいたサポートは、執筆のためのあれこれに使わせていただきます。