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めぐりめぐって。

学生の時の話。
思いやりの循環の話です。



春休みに生ぬい空気の部屋でぼーっとしてたんだと思う。
メールが鳴った。


今日会えないかな?



こんなこと言うなんて珍しすぎて、なんとなく心配した。なんかあったのかなと。



バスの時間みて、何時にどこどこでって結局駅で待ち合わせしたんだと思う。

おう。て言った顔が全然元気ではなかった。いや、はじめてみた。慌てて家から出てきたような顔。
こんな顔するんだ、とも思ったくらいなダメージだった。


歩こう。と言われて、川沿いに向かう。


聞いていいのかわからないけど逆に聞いてあげたほうがいい気がして、なんかあった?と聞いたと思う。


歩きながら、なんとなく、ゆっくり、ゆっくり、空気が流れた。


そして、ときたま、太陽でキラッと光る川をみて、うん、まぁ。
裏切りにあっただけ。
と遠い目をして言った。


なんの?とも聞かないし、顔を見たらそれ以上聞けなかった。


その横顔にぬるい風で時たまなびく髪とふしめがちな目とで、十分伝わってきた。


10代の彼にとって相当なことだったんだと思う。

また川沿いを歩いた。


あとは具体的な話はしないで手をとって、あるとこへ歩いた。



マイナスな事は人に言わないのはわたしもだから感覚的な話をするところは似ていた。


それに、わたしがショックなことがあってずっと教室で寝てるのを見てメールをするような人だった。人に頼れないようなことを察してそうしたんだと思う。
でもふんわりとした概念的な話で終わっていた。
お互い踏み入らないけど気にかけている関係が続いた。


そんなだから彼も具体的には言わないけど、誰かに頼りたかったんだと思う。


つらすぎると、寄り添って欲しい時てある。10代とか自分というものがまだ発展途中なのに、ショックな事って余計辛かったはずよね。


関係は見えないものだけど、心がわかりあうものなら、感覚的なものでいいからその時のそばにいて欲しいと思い浮かぶ人って今思えば、それなりに大事な人なポジションである。


その時はそこまで考えも及ばないわけだけど、離れてみるとよく見えるものだ。



それに本当にその人を理解はできない。
でも見えない伝わる何かでお互いが循環すればそれで十分理解したという事と思ってわたしは生きている。


わたしのことを100%わかってとも思わないし。


理解してくれようとしてくれている人がいたら幸せなことである。






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