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台湾の落ち着き: 2024年1月13日の台湾総統選挙に向けて」

台湾をぶらぶら見て回るのは、ただの個人的な観光旅行というわけではありません。

あたかもそこに住んでいるように、その国のことを見て回りながら考えることができるのは、バックパッカー旅行の長所です。

そのような理由で、現在台湾が迎える国際的な、内政的な焦点について考えてみます。「台湾有事」という言葉が日本や西側メディアで踊っています。「中国が台湾を侵略しにくる」という内容です。

2022年には米国民主党の大物議員ペロシー議員が訪台しました。その時、中国人民解放軍が台湾全土を包囲するという事態が発生しました。

中国の基本方針としては、台湾を平和裡に吸収したいという方向で動いているようです。

ただ中国軍の戦闘機が境界線を越境して来るといった行為は日常化しており、その頻度も過去最高を記録するのが今日の現状です。

台湾国防、内政に関する事細かな情報も中国に漏洩しており、スパイ行為もおそらく常態化しています。

台湾が属する、頼りにしている西側西洋諸国も大きな混乱を抱えており、台湾を取り巻く国内外の状況は不安定な要素に満ちています。

日本も、アメリカの奇特な勢力に振り回されて、自律的な姿勢など持つ術も気概も持ち合わせていないかのようです。

かつての台湾を統治した宗主国日本にとって東アジアの混乱に対して有効な手立てを取ることはその背丈に沿わない行為なのでしょうか。

そんな状況の中で2023年9月の台湾は、不思議と落ち着きに包まれています。

2023年2月に台湾に3年ぶりに訪れた時と比べても、社会全体に落ち着きと安定感があります。

これはおそらく来年2024年1月13日に迎える台湾総統選挙に関する世論調査が発表され、与党民進党の頼清徳現副総統が、総統に選任される見込みが強いことが挙げらます。

2028年にも総統選挙がありますが、その時も頼清徳氏が再選されることでしょう。

つまり現在台湾社会が得るこの「落ち着き」は、台湾の国家方針がこれまでの蔡英文総統時代の8年間を、今後も維持することに起因するものと言えます。

ただ個人的には、総統選挙は民進党頼清徳候補で決まりだが、立法委員選挙では、各党候補者が相応に当選するという混戦状態が生まれると考えています。つまり与党一強で法案が実定法化するということではなく、各党を支える社会レイヤーの思惑と利益を反映して、社会全体のコンセンサスを得るような法案しか通らなくなるということが考えらます。

この利点は、国外の奇特な勢力にいわば鼻面を引っ掻き廻される危険を回避できるという利点があります。一方で思い切った変革を断行できないという停滞感を生み出すという懸念もあります。

台湾がこの歴史的葛藤の中で生み出した「民主興自由」は、どこまで完徹されこの国と国民を導くのか。

国際政治を取り巻く現状は、危険に満ちており、「現状を維持できる」というのは大変恵まれたことかもしれません。

各党候補者のプロファイリングは別の機会に譲るとして、最後に言えますことは、およそ100年もの歴史的困難を乗り越えた現代台湾には、現状に対処し得る力が備わっているということです。それが現在の台湾社会には「落ち着き」として現れているように思えるのです。

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