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今だから語れる西郷どん①

これまで、西郷どんについては、共感性がとか、歴史が好きじゃない人向けとか、色々語りましたが、だいぶ間違ってたなあ。

40回をすぎて、やっと西郷どんについてわかってきたというか、解釈がまとまってきました。

西郷どんが焦点を宛てているのは、①感情 ②お金 ③軍事力(腕力) の3つ。

これらがいったい何かと言うと、人に決断をさせ、物事に決着をつけるもの、人間や社会を動かし得る「パワー」ですね。

西郷どんは歴史上に現れた何かしらの事象を、その時代を生きた人物の一代記の形で物語にしたドラマではなくて、歴史や人を動かして事件を起こす、根源的な力の方に迫って、逆にそれをドラマを通して表現しようとした、と言っていいと思います。

この解釈ははっきり言って燃える🔥🔥🔥 リアリズムですよ。ものすごくリアリズムに則って描かれている大河ですよ。

いや途中で、何らかの構造がしっかり組み立てられていることには気がついたんです。ただそれが何を意味するのか、まるで言語化できなかった。ぶっちゃけてんでわからなかった。

革命編では戦争をするので当然なのですが、明治編になっても、鉄道を作るのに外国から金を借りたとか、政府に金がないから藩から徴税権を取り上げるとか言っているあたりでようやく、「あ、パワーを明らかにしているんだ」とハッとしました。

西郷どんでは、表層と言うとあれなんですが、起こった事件に対しては、あまり興味を示さないけれども、どのパワーがどのように動いたのかはひたすら追っていくんですね。

この態度はすごく面白いです。

西郷どんは、歴史に興味がないわけでも、扱わないわけでもなかったし、歴史が好きじゃない人向けどころではなかった。

むしろ歴史とは「何か」を問う大河でした。

あと何度かツイートしてるんですが、西郷どんでは、明治維新と言うものが起こった動機を、欧米からの外圧ではなく、当時の日本の社会が迎えていた変化の内圧として捉えているのですが、これもすごく大事な視点だと思います。

というのは、強烈な外圧によって変化するほかなかった、という歴史観が、いかに環境順応型の価値観に囚われたものであるかを突きつけるからです。

いつだったか、私は「西郷どんは佳作大河になる可能性はある」ということを書きましたけど、佳作どころじゃないです。ここまで高い知性でもって制作された大河は初めてかもしれない。

というわけで、最終回の12/16までにできるか限り最初から見直して、解説してたいと思うのですが、うーん、心意気はありますけど、まあ無理せず、できる限りということで。

4回で挫折しているレビューをいまさら再開するのは現実的じゃないですしねって、いや、居直りですみません!! ざっくり頑張ってみます。

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