見出し画像

アンチャッチャの治療記録②

前回投稿したアンチャッチャの治療記録①の続きです。

CTスキャンの受診から治療の再開、肝生検で慢性胆管炎が判明するまで。
最後に、今までの治療を経験した中でニンゲンが思ったことについても書いています。

2024年1月②・CTスキャンを受診

元旦の朝、背を伸ばして外を見るアンチャッチャ。

翌日、朝8時にブリーダーさんが車で到着。
出発前にかかりつけの動物病院へ立ち寄り、エコー検査とレントゲンの画像データをもらった。

「血液検査の数値を見ても、門脈シャントではないと思いますよ。ちゃんと体も成長しているし。先天的な異常があったら、どこか弱弱しくて、体も未発達な子になるはずです」

検査先へ向かう道中、ブリーダーさんが運転をしながらなだめるように言ってくれた。実はこの人も長年診察を行ってきた獣医だったりする。

何十年も猫を診てきた専門家の言葉だ。そうだったらいいし、そうだと信じたい。でも…。ニンゲンはモゴモゴと歯切れの悪い返事しかできなかった。

そうしているうちに検査先の動物病院へ到着。検査を担当する先生に今までの検査結果を渡して、セカンドオピニオンを受ける。この先生の見解も「門脈シャントの可能性はかなり低い。ほぼないと言っていいのではないか」ということだったが今までの診断も考慮して、門脈シャントの可能性を完全に潰すためにCTスキャンを受けることになった。

検査には数時間かかるので、ニンゲンは一旦自由行動を取ることに。

とはいえ土地勘のない場所で何をしたらいいのかわからないし、映画やショッピングという気持ちにはとてもなれない。考えた結果、電車を一時間近く乗り継いで日比谷図書館へ向かい、猫関係の本を読んだり、プロントでパスタを食べたりしてぼんやりと過ごした。

夕方、再び動物病院へ。

アンチャッチャはすでにキャリーに戻されており、中からは怒りに満ちた抗議が聞こえていた。ガタガタと揺れるキャリーを思わずそっと撫でる。

唸り声が響く中、検査結果の説明が始まった。

全身麻酔後の状態はこの通り問題なく、怒りながらもしっかり出されたご飯を完食したらしい。なんてガッツのある子なんだろう。この時点で目を潤ませるニンゲンに先生がCTスキャンの結果を続ける。

「今回のCTスキャンでは、門脈シャントは認められませんでした。その他の血管にも異常はないし、臓器の発達も正常です。あきなちゃんは健康です」

「ほらね」と言わんばかりのブリーダーさんと先生だったが、ニンゲンは心底ほっとした。

今まで血液検査で数値が上下していたのは、おそらくストレスの影響だろうと。家でのアンチャッチャはとってもおおらかな猫なので忘れていたが、ロシアンブルーは神経質で難しい気性なので無理もないそうだ。

よかった。本当に、本当によかった。

CTスキャンではっきりと確証が持てたことで、ようやくニンゲンも安心ができた。何も異常がないので、これ以上相談することもない。手早く会計を済ませて、ブリーダーさんの車で自宅まで送り届けてもらう。ちなみにこの日かかった費用は、診察代含めて6万円だった。

本当にお疲れ様。

2024年3~5月・かかりつけ医の再訪と治療再開


パネルヒーターの前でホカホカとお昼寝中。


CTスキャンの後は投薬もやめて、アンチャッチャをストレスフリーに過ごさせることに専念した。かかりつけ医にはニンゲンから検査結果を報告。その上で、しばらくアンチャッチャを休ませる方向になっていた。

元々3月には混合ワクチンの接種があったので、約2カ月ぶりに再診。

CTスキャンで門脈シャントの可能性は消えていたが、以前のようにとんでもない数値が出ていると困るので念のため採血もした。

血液検査の結果
・AST/GOT:35(基準値18~51)
・ALT/GPT:77(基準値22~84)
・ALP:83(基準値13~58)
・NH3(アンモニア):153(基準値23~78)

ほかの数値は落ち着いていたものの、アンモニア値が再び高くなっていた。かかりつけ医から「やっぱり治療を続けませんか」という提案を受ける。

正常な肝臓であれば、数値が連続で高く出ることは考えにくいそうだ。

慎重派の獣医と心配性のニンゲンが話し合った結果、とりあえずヴェルキュアリヴという肝機能を補助するサプリメントを試すことになった。

しかし、4月の再診でアンモニア値が180まで上がってしまい、ウルソとフラジールに加えラクツロースというアンモニアの排出を促す下剤の投薬が再開。5月には89まで下がったけれど、基準値よりもやや上だ。アンモニアを下げる薬を飲ませているのに。

アンチャッチャの肝臓が門脈シャントじゃないことは確かだ。でもじゃあどうしてずっとアンモニアが高いままなんだろう?

CTスキャンで発見できるのは、肝臓や血管の形で診断できる症状だけだ。
見た目ではわからない肝機能の異常を見つけるには、肝臓の一部を切り取って調べる肝生検が必要になる。全身麻酔の上でお腹を切る、大掛かりな手術だ。アンチャッチャへの負担もかなり大きい。

かかりつけ医もこればかりは強く言えないようで「ニゲさんに抵抗がなければ…」とのことだった。

またアンチャッチャのお腹の毛がなくなるのか…とニンゲンは憂うつだった。

2024年6月・腹腔鏡による肝生検で病名が判明

腹腔鏡検査を受けた病院では怒りに満ちていた。

受診から数日間、ニンゲンは肝生検や猫の肝臓障害について調べた。

血液検査では原因を突き止められないので、この先もずっと数値に異常が出てから治療を行うことになる。常に後手に回った状態で、手遅れにならないのだろうか。アンチャッチャの健康を守り切れるのだろうか。

病名がわからないまま肝機能とのいたちごっこを続けるのは、すごく怖い。

悶々としながら検索を続けていると、とある動物病院のブログで「腹腔鏡による肝生検(体に優しい手術)」というページを見つけた。肝生検の必要性とリスクの間で揺れるニンゲンにはまさにタイトル一本釣りの副題だ。

そのまま詳細を読んでみる。全身麻酔は必要だが、基本的には日帰り可能。手術の傷は3~5mm程度とかなり小さく、開腹手術よりも格段に負担を減らして肝生検を実施することができる。

これだ。これしかない。

かかりつけの動物病院には設備がないので、東京または神奈川で腹腔鏡完備の病院を探した。そして運よく車で1時間ほどの場所に腹腔鏡手術が得意な動物病院が見つかったので、すぐに初診の予約をした。

6月上旬に3軒目の動物病院で獣医によるサードオピニオンを受診。腹腔鏡での肝生検を受けてから1週間後、ようやくアンチャッチャの慢性胆管炎(胆管肝炎)が判明したのだった。

慢性胆管炎のほか、先天的な内部血管の形成不全もあった。(あまり気にしなくていいそう)
肝組織の拡大図。真ん中のモヤモヤが細胞の炎症らしい


本当に大変だったのよう!



おわりに・それぞれの動物病院と診断について思うこと

以上が、アンチャッチャが今まで受けた治療の記録です。

初回の肝数値異常がわかってから確定診断までかかった期間は約7ヶ月。その間に3つの動物病院に行って、獣医からはそれぞれ異なる診断と治療方針を勧められました。

結局は一番慎重派だったかかりつけ医の診断に従ったわけですが、ほかの先生が誤診だったとは思っていません。

投薬治療にも副作用が出る可能性はあるし、毎日苦い薬を飲まされるアンチャッチャにはストレスがかかる。CTスキャンには全身麻酔による副作用があって、腹腔鏡による肝生検もリスクがゼロという訳ではありません。

不必要な治療はできるだけやらないほうがいい。

人間の言葉がわからないアンチャッチャが、怖い思いや苦しい思いをしないよう、どの先生も真剣に考えてくれたのだと思っています。

私は猫を飼うのが初めてだし、獣医学の知識もない素人です。なので診断を受けるたびに自分でもたくさん調べたり考えたりしながら、一番後悔が少ないと思う治療を選んできました。それでもやっぱり、今の治療が絶対に正しいのかはわかりません。

私はアンチャッチャにとって、本当にいい治療を選べているのだろうか?

これからもずっと疑うし、考えると思います。

アンチャッチャを世界で一番幸せな猫ちゃんにするために、一緒にニンゲンとして責任を果たすために、考え続けていきたいです。

ニンゲンいっぱい頑張るよー

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?