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気象予報士資格はムダ資格なのか

1 世間のイメージ

 先日、とある求人を見ての面接試験を受けた折、「気象予報士試験合格発表待ち」の文言に反応された面接官から次のような質問をもらい、大変驚くこととなった。

「合格してたらこの資格を生かした仕事につく予定などはないですか?こちらはこの期間で契約を考えているので、すぐやめられると困るのですが」

 そういえば、試験勉強をしていることを告げた職場仲間などにも複数、このように言われたことを思い出す。

 私は試験勉強の関係から、巷では「気象予報士試験はとっても意味ない、使えない」というネット記事を多数目にしていた。
 仕事や就職で有利になったり直結したりするかという意味では、必ずしもそうではないためこのように書かれていると理解している。
 行政書士などはその時資格取得をもって起業できてしまうし、簿記や宅検・医療事務などは企業側がそのような人材を求めるニーズが高く、仕事が決まりやすいということだ。最近は「気象予報士事務所」なる事業所もあるらしい。

 そういう事情もあり、気象予報士試験の受験生はマスコミ・アナウンサー志望が思った以上に多く、それを知った時、これまた私は大変驚いたのだった。

 「特定の仕事につく・仕事を目指す人にとっては必須に近い資格で、そうでない人にとっては娯楽資格」という今の世間のイメージと「他の士業同様、専門性の高い資格」というイメージが混在している。
 それは、合格率約5%(とよく表現される)という低さから、行政書士などと横並びに認識されるのかもしれない。
 なにはともあれ、人によってこの資格のイメージが違いすぎる。


2 気象庁 気象防災アドバイザーの現状

 資格取得しても社会で生かされていない、しかし近年の顕著な気候変化から、防災意識の高まりはある。そんな訳なのか、気象庁では「気象防災アドバイザー」なるものを募集している。

 育成研修の内容は、採用合否を伴う選考の末、10000円の受講料を支払い、約3ヶ月のオンライン研修・実地研修を行うもので、要件を満たすと、気象防災アドバイザーとして登録される。
 気象庁HPにも書かれているとおり、アドバイザー登録をもって仕事が紹介される訳ではない。アドバイザーを必要とする自治体が有期雇用職員として求人をかける際に利用するという形のようである。

 元々公務に関心もあったため色々調べてみたところ、この気象防災アドバイザーの現状は、働き盛りのアドバイザー側にとっては大変残念な現状であることがわかった。簡潔に書くと、20〜50歳代の安定した暮らしのための仕事や制度にはなっていないということである。以下、その内容を箇条書きにしてみた。

・自治体が雇用したアドバイザーの属性は9割以上が元気象庁職員退職者ないしその附属機関退職者

・いわゆる「地域おこし協力隊」同様、なんとなく防災を強化したいという自治体も多く、その場合「この仕事をしてほしい」といった内容が明確化されていない。
 しかし嘱託職員として雇用されるケースが多いことから、一人で仕事をやってくれという組織体制となるケースが多い(協力や相談を仰ぎにくい)。

・過去の自治体雇用のアドバイザーの実績は、防災マニュアルの作成・見直し、課内職員を対象とした気象関連の定期的な講習などにとどまる。

・アドバイザーを雇用した自治体側からの意見、課題として突出して多かったのが予算(通年雇用はいらない、出水期だけ雇用したい)である。

 要は、通年雇用のニーズはなく、困りそうな時だけ雇用したい。派遣社員のような雇用の仕方を望んでいるのだろうということが強くうかがえる。
 これでは気象防災アドバイザーなど定着するわけもないというのが、個人的な意見である。

 気象に関連の深い「防災士」資格も受講さえすれば取得できる資格で、総務省の天下り先の確保のための組織として維持する必要があるからそのような資格があるなどと書かれている記事すら見受けられる。

3 キャリアとの掛け合わせができないとムダ資格

ムダ資格というのは暴論だが、現状では生かすことができないとムダ資格というのは間違いないようである。

 かといって、現状上のように不定期かつ限定的に能力を求められているなら通年の事業は収益化が難しい。
 気象予報士資格取得者による、予報士試験対策サイトが多数乱立するのも納得の現状である。この資格を直接生かして金にしようと思えば、それが一番通年安定し起業しやすいと考える。
 受験生支援事業サイトが増えればそのうち大手サイトや大手予備校でも気象予報士資格を取り扱う日が来るのかもしれない。

 ところで、本日このような記事を見つけた。

 受験生支援サイトではこのような時事ネタをカテゴライズして見に行けるようなサイトは非常に少ない。
 そして気象予報士受験勉強当時、私はこのような記事を求めていた。なので、「これ!こんなのが見たかった!」とワクワクしながら上の動画を見たのである。

荒天予想のための解説記事も重要だが、正直なところ荒天になりそうな時だけあんなに乱立されても鬱陶しいだけで、受験生としてはその解説を自分でやりたい(やることが実技対策になる)ので、多数あるが故に嫌でも目に入ってしまうことに困っていた。

 山岳事故などはその時事ニュースまとめのサイトが存在しており、活用させてもらっている。
 実生活に近い、しかし気象予報士試験に関連する、時事気象ニュースは潜在的な需要があると見ているのだが…そのうち自分でサイト開設してみようかな。きっと海洋ではなく山岳がらみの気象ネタばかりになりそうだけど。

 とこんな形で、事業を考える発想なり経営感覚なりが資格を金に生かすのであれば要求されるのがこの資格なのだと思う。いっそ、気象予報士資格を生かした起業セミナーなどでも収入になりそうである。
 などと書くことはいくらでもできるが、広報の専門的なノウハウもなく経営のノウハウもない私には夢物語である。そのうちそんな夢物語を形にできるように広く知見を広めたいと思っている。

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