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ミライノオトモニターNo.14「まだ知らない、あなたとわたしと。」

ふと見上げると、夏の太陽がわんわん音を立てて照っている。
このところの暑さときたら、本当に異常だと思うけど
ちょっとだけ、それもいいかもしれない、とも思う。

自分の背丈ほど伸びた植物に囲まれていると、世界は一見狭く見える感じがする。
だけれども、私はこの奥に、何か真理のようなものが見える気がするのだ。
目の前に現れているのは、地球上で何億年もここにある大地という愛の中で育まれた、生き生きとした生命であるのだから。

遠くまで意識を飛ばしてみると、ここでは聞こえないものが耳に・・・いや、体の中に入ってくる。

それは、生命の動く音であったり、心が弾む香りであったり。
肌を撫でていく風は優しい手のように温かみを持っていたり、今までに食べたことのないような、何かの味を感じることもある。

そして、目を瞑っていると、ぷちぷちとした粒たちがたくさん増えてきて、光輝いてくるのが見える。
さらに、まぶたの奥の、もう一つのまぶたを閉じてみると、もっと奥深くに潜ることができる。

海の底のような、宇宙の果てのような、深い深い色の中で、いつも様々なものと出会う。
それらから受け取るものー
時には言葉、時には香り、時には感触、時には味、時には音・・・
その中から、宝物のようなサインを受け取っては、今ここに戻ってくる。
そんな遊びを最近は楽しんでいるのだ。

今も、その遊びが不意に始まるところだったが、後ろに気配を感じた。
振り返ると、カゴいっぱいのトマトを持って汗だくの、夫が立っていた。

「これだったら、おすそ分けできるかなあ。
ちょうど熟れてきてる感じだし、傷もないし」

「うん、そうだね。綺麗な音がするみたい」

綺麗な色、とは言わない私の言葉を、夫はそのまま受け取ってくれたようだ。
綺麗な音ってどんなの?とは聞かない。
でも聞かなくても、感覚で同じようなものを感じ取っているのが分かる。


言葉は曖昧だ。
全てを表してくれるようで、何も表すことができないような、不確かなものだ。
言葉にしようとした時に、繊細なものは全て抜け落ちてしまい、自分が分かるようなものに変換されて、鮮度も魅力も削がれ、本来のものとはかけ離れたものになる。

言わなきゃわからない。
それは確かにそうだと思うし、お互い同じことを考えているようで、実は違っていたなんてこともあるから、言葉を交わすのは大切だと思う。

でも、言葉にできないものも、それ以上に大切なのではないかと、土や植物に触れるようになって、感じるようになった。

土も植物も、何も話さない。
だけれども、その様子をじっと見たり、心を寄せてみると、彼らの言いたいことが分かるようになってくる気がする。

今、水が欲しいのか、もっと暖かさが欲しいのか、何か栄養になるものが欲しいのか、何もしなくていいのか、それとも、ただ、心を向けて欲しいのか。

彼らは我慢をしたりしない。
いつもそのままを伝えてくる。
私は、それを汲み取ることを練習しているのだ。

そしてそれは、私の中にある、私も知らなかったような、大いなる愛を感じさせてくれる・・・時には厳しく、時には優しいトレーニングなのだ。

わんわんと照らしていた太陽に、すうっと雲がかかり、一瞬暗くなる。

「行こ。みんな待ってる」

夫が、私の手を引いて前を歩き出す。
その手はじんわりと汗をかいていて、ちょっと土の香りがする。
それと同じくらい、まだかいだことの無い新しい香りもしたのだ。

私はまだ、この人について知らないことがたくさんある。
全てを知ることなんて、不可能なのは分かっているけれど
知らない匂いを嗅いでしまったなら、そこまでは覗いてみたい。

あなたも知らないあなたと私が、もう一度出会う場所はどこなのだろうか。
そして何を見るのだろうかと。

遠くから、子どもたちの遊ぶ声が聞こえる。

「もういっぱい遊んだでしょ、今度は私の番!」

順繰りに巡ってきては、いつかは終わるもののかなかで生きるのならば、私はただ、その流れに身を任せていればいい。

何が正しく、何が間違っているなど、誰にもわからないこの世界。
行き着く先は、私の中の大いなる愛が導いてくれるだけなのだから。




「ミライノオト・モニターシリーズ」
MIERUKAアーティストAKARIが綴る、
お申込みくださった方の「勝手な未来の妄想ストーリー」
今回は、家族についてのストーリーのご依頼でした。

モニター募集時の記事はこちら
https://resast.jp/events/YjkwYzc3NWQ4M

<追記>
本募集が始まりました!
小さな本のタイプと、動画タイプをお送りしています。


現在こちらで受け付けています。
https://resast.jp/inquiry/ZjI3OTgyNzQwM

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以下は、お申込みくださった方のご感想です。

・今回お申込みいただいたきっかけ、何にピンと来たかなどお知らせください。

未来と言うワード


・届いた妄想ストーリーのご感想をお願いいたします

とにかくなんども頷きながら読ませていただきました。

本当は深いところで知っていたことを思い出したような感じ。

今まで大切にしたいのにしてこなかったこと。
これからは絶対に大切にしたいこと。
それらが妄想ストーリーにでてきて、読むと言うより感覚を思い出すようなかんじでした。

読み終えたあとは、
ワクワクするとかではなく、そうであるという絶対的な感覚があり。

ストーリーを読んだあとは、ふしぎなことに
夕日が沈んでいくときの、強烈だけど優しい光につつまれた色がでてきます

とても面白かったです!
ありがとうございました。


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モニターのご参加ありがとうございました。
未来への一つのヒントとなりましたら幸いです!

この度は本当にありがとうございました^^

さらにミライへ、そのオトを聴きならがら。

MIERUKAアーティストAKARI

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