見出し画像

帽子をかぶる仕事

小さい頃から、帽子をかぶる職業に心を惹かれていたように思う。

例えば、電車の運転手、例えば、パイロット、自衛官、警察官。みんな帽子をかぶっている。ヘルメットもかっこいいけど、ちょっと違う。ヘルメットは、頭を外傷から守る、という明確な目的があるのに対し、帽子は、機能的にはあってもなくても変わらない。

実際に、私が今の仕事で帽子をかぶるのを忘れても、実務を遂行するのに困らない。機外点検の時にオイルが目に入らないようにするため、なんてデタラメなことが言われることがあるが、そんなことはない。第一、空港のエアサイド(ターミナルの外)にいるときは、帽子をかぶらないこと、と会社のルールで決められている。風で飛ばされてしまうからだ。機外点検の時も、もちろんかぶらない。

では、なんのために帽子をかぶるのか。

帽子は、責任に裏付けられた権力を象徴する。帽子は、記号なのだ。制服も同じ(というか帽子が制服の一部だが)で、その人間の役割と、オーソリティ(権力)があることを、言葉を使わずに示す。そうすることで、事が起きた時にその人の素性が誰であるかにかかわらず、他人がその人に従いやすくするのだ。帽子、あるいは制服は、着用した人が責任と引き換えに持った権力の象徴であり、それを担保する能力を持っていることを保障する。

実際に、制服を着て、帽子を目深にかぶると、自分がなんだか強くなったような気がするものだ。制服を着用する前後で、自分自身は物理的に変わっていないのに。だからこそ、実務に支障がないからといって、「あ、帽子忘れちゃった」では済まない。制服は、正しく着用し、通勤時を除いて、仕事が終わったらすぐに着替えるべきだ。

冗談ではなく、大真面目に帽子をかぶる職業についてみて、このヘンテコな物体を頭にのせる意味について時々思いを馳せるのだった。

まぁ、コクピットでは、もちろん帽子なんてかぶっちゃいられないし、ネクタイも緩めて仕事しやすくしているけどね!

【note】
「飛び色」専門の姉妹アカウントで動画noteに挑戦中です。
今はマイクロソフトのフライトシミュレータでセスナを飛ばす解説
丁寧にやっています。
よろしければ見ていってください!

ここから先は

0字
この記事のみ ¥ 100
期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

たくさんの方々からサポートをいただいています、この場を借りて、御礼申し上げます!いただいたサポートは、今まではコーヒー代になっていましたが、今後はオムツ代として使わせていただきます。息子のケツのサラサラ感維持にご協力をいただければ光栄です。