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昔の先輩の言が10年経ってやっと響いた話

昔、まだ小型機の訓練を始めるか始めないかのとき、先輩にこんなことを言われたことがある。

「学科の知識っていうのは、フライトのそこ、ここに落ちているから、それを探すように飛ぶんだよ」

その時は、ふーん、そんなものか。程度の認識だったが、今、実際にエアラインパイロットになってみて、10年近く前のこの先輩の言葉が、実はものすごく核心をついたものだわかる。昔ひとから言われた何気ない一言が、時間が経ったあとで振り返ってみると、そういうことだったのか!と合点がいく経験は誰にでもあると思うが、あれだ。

知識は使えてなんぼ

飛行機はいつも離陸時にフルパワーを出しているかというと、そんなことはない。お客さんが少なくて離陸重量が軽かったり、滑走路の長さが必要以上に長い時など、わざとエンジンの出力を10%くらい落として離陸する時がある。その方が、エンジンの機械としての寿命が伸びるからだ。

反対に、エンジンが一発壊れたり、ウィンドシアに入った時のような緊急事態の時には、通常の離陸パワーの限界を超えてさらに力が出るようになっている。ただし、エンジンに大きな負荷がかかるので、その出力を使用できる時間に制限がつく。表にすればこんな感じだ。

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