見出し画像

信用取引の闇(1)管理費

信用取引には維持費がかかります。特に金利が大きいので誰でも金利のことは気にしますが、意外に管理費のことは誰も話題にしません。でも、気をつけないと必要ないお金を取られているかもしれませんよ、というお話です。

管理費とは

正式には事務管理費と言い、新規建約定日より1ヶ月目ごとに発生します。つまり、半年建てていると下記の6倍かかります。

  • 1株につき税込11銭 = 100株で11円

  • ただし ETF のように1株単位で取引する株は 1株税込 110円

  • 最低110円、最高1,100円

  • 建玉ごとに発生する

管理費の何が問題か?

まず、建玉ごとというのに注意する必要があります。例えば、信用取引で一括して1,000株買えば管理費は月110円で、これは何の問題もないし無視できる程度です。しかし、100株ずつ10回に分割して購入すると建玉ごとに管理費月110円が発生して、合計1,100円になります。

もうひとつ、株価の安い ETF の管理費が馬鹿になりません。例えば、1357 (NEXT FUNDS) 日経ダブルインバース上場投信 というETFがありますが、このETF は売買単位が1株で株価は 231円(執筆時点)です。このETFは株価が低いので1株だけ買う人はほとんどいないとは思いますが、仮に 1株ずつ何回かに分けて買ったとすると、1株ごとに月110円かかります。つまり、株価変動が損失がなくても2ヶ月保有するだけで株価≒管理費となり、評価額がほぼ0円になります。なお、少額で買えば買うほど影響は大きいですが、逆に1回ごとの購入額が多くなれば建玉ごとに最高1,100円ルールが効いてきて管理費の影響はほとんどなくなります。

このETF、全ETFの中でも常に売買代金上位3位に入る取引額の多いETFなので信用取引で買っている人も多いと推察されるのですが、みなさん管理費のことを理解しているのでしょうか?他人事ながら少し気になります。

何とかならんのか?

これに対する唯一の対策は建玉をまとめることです。このためには、最初から分割買いなどせずに 1,000株を一括で買うという方法もありますが、100株ずつ分割購入して1,000株になった後で、下記を同時に行えば解決です。

  • 分割して購入した1,000株を返済売り

  • 1,000株を新規買い

これによって分割して購入した1,000株をまとめる(というか、買い直す)ことができます。これにより、信用取引の売りと買いの1往復分の手数料が必要となります。ただ、手数料は管理費よりは安くなる場合が多いし、大口顧客や少額の場合などで手数料無料となる場合も多いので多くの場合は買い直したほうが得になるはずです。

まとめ

信用取引で積立(分割購入)をしている人と、低株価のETF(特に1357)を小規模に信用取引している人はくれぐれもご注意を!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?