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義経と物語のはなし

義経が好きでもっと知りたくて色々調べていてわかった事。

「義経に関する史科マジで少ない」

少なさのヤバさを察したのは某歴史バラエティ番組で「ここの部分の史科がなさすぎてわからないので※義経記を参考にしています」と参考文献が創作物語頼りになっていたのを見たとき。
義経という英雄はおおよそがもう想像するしかない事柄が多すぎる人物だった。

※義経記…義経没後200年に書かれた作者不詳の軍記物語

史科の情報が少ない分作者の妄想力のクオリティが高いのか、義経記に限らず義経の物語は魅力的なものが多い。江戸時代では義経を出せばウケるので能や歌舞伎、子供向けの玩具、浮世絵の題材等に多く取り上げられた。一番広く知られているであろう、弁慶と義経の五条大橋でのエピソードですら、後期の創作だったりする。

ありがたい事におだいばこに投げて頂いたので、
義経の創作の中でも特に気に入ってる2作品を紹介します。

◆室町時代に書かれたFate「義経地獄破り」

Fate、ドリフターズ、もしくは魔界転生。つまり活躍した時期が異なる有名な英雄たちが同じ場所に集まる物語。
室町時代にもそんな話を書いた人がいました。「義経地獄破り」というタイトルの物語は不思議な山伏に地獄に招待された主人公が、義経と出会い、地獄にいる有名な英雄たちと手を組んで閻魔大王を倒し、天国を目指すというあらすじだけでわくわくするような話。
webでも読むことができますが、本が原文の画像、書き下し文、現代語訳、挿絵、と情報量いっぱい楽しいです。少しお高いですが。
オチも現代でもよく見る終わり方なので、妙な親近感が湧きます。

◆刀狩りをする牛若丸「橋弁慶」

元は能楽の戯曲で、室町時代から江戸時代まで長い間上演されてきました。
刀を999本集めてるのは牛若丸、それを退治するのが弁慶という、
いわゆるよく伝わってる逸話の逆バージョンのお話です。
美少年バーサーカーじゃん書いた人天才か…と初めて知った時思った覚えがあります。昔の人天才だわ。
面白いのは

・「五条大橋」で牛若丸と弁慶が出会う

という有名なエピソードが、牛若丸が刀を集めているという世間に流布してるお話と真逆の戯曲から初出(らしい)で広まってるのが、なんとも不思議で面白い。
現在でも歌舞伎や狂言で上演されていたり、あらすじは調べればすぐ出て来る話ですが、義経が暴れん坊だったという設定がとにかく好きで「橋弁慶」は語りたい物語の1つです。

◆現代義経記からは削除された「赤木文庫本義経記」

2作品じゃないじゃん3作品あるやんけとなりましたが、ちょっとこれは別腹なので書かせてほしい。
義経関連の好きな物語で「義経記」あげるのは、それが全てですしみたいなところはあるのであえて書くことでもないのですが、「赤木文庫本義経記」だけは少し事情が違うので敢えて書こうかなと思いました2021年(この記事は2020年に下書きしたまま放置していました)

この「義経記」は現在でも手に入るものの中で最も古い文に近い義経記らしいです。(藤沢で開催された講演会で専門家に聞きました)
遡ること江戸時代、いわゆる判官ブームという、義経を悲劇のヒーローをして扱ったものがめちゃくちゃ流行りました。みんな大好き悲劇の英雄。
その当時も義経記はあったわけで、今みたいに重版や色んな出版社から出てたんですかね…その過程で流行りに合わないからと悲劇のヒーロー像に合わないエピソードは削除してしまったそうです。
(判官ブーム前の義経は怨霊のイメージが強かったとか)
その削除されてしまったエピソードが大層物騒で私がめちゃくちゃ好きなんですが「義経含み状」といいます。

多分好きすぎてTwitterで何度か語ってると思うのですが、検索してもほぼ出てこず、赤木文庫本義経記にしか載ってないので進めづらいことこの上ないのですが好きな義経のエピソードを語る上で優先順位をあげたくなる話なのでつい書きました。

おだいばこでいただいて同人誌の元ネタにしたエピソード多分他にもあると思うんですが、
「水先案内刀」は「義経地獄破り」
「橋弁慶異聞録~」は「橋弁慶」を元ネタにしてます。
(「橋弁慶異聞録」は最初40Pくらいの橋弁慶に忠実に沿っただけの話でした…最終的に200Pなったのは私も謎です)
「まねごとままごと」で勧進帳を下ネタにして一人でめちゃくちゃこれはウケると思ってたんですが、全くそのことに関しては反応がなかったのでちょっと滑ったみたいになったなあと思ってますが後悔はしてません。
知らなくても楽しめる、知っていればニヤニヤできるみたいな作品が好きなので、自分もそういうのが作れたらいいなあと歴史ネタ絡めた漫画を描いてるので、私が好きなものを知りたいと思ってもらえたなら良かったなあと思っています。おだいばこありがとうございました~

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