金沢②

前回、金沢旅行記と言うより財布を落とす話になってしまったのだけれど、ここからは金沢に着いたところから話したいと思う。

 地方の主要都市に着くと、まぁほとんど東京と変わらないなぁと思うことが多い。どこも街並みが一緒で、話す言葉が一緒で同じような駅ビルがありその中に同じようなお店が入っている。未知のものがあまりない既知の世界と変わらない。それが旅行としてはトリップ感がない反面、ストレス負荷がないので心を落ちつけたいような旅は国内がいいのかもしれない。

金沢は、大きい都市ではないので地下鉄がない。旅行に行った時地下鉄があるとガンガン移動できて便利なんだがここではバスで移動する。

駅から出るとバスターミナルがすぐ目の前にあり、行き先別のバスもかなりの頻度で出てるみたいだ。だから簡単に目的地までのバスに乗車することができた。ここもこじんまりと言うことのメリットがよく出ているように思う。

 金沢の観光地で一番有名な兼六園と、金沢21世紀美術館はほぼ目の前の距離にある。
なんて素晴らしい立地にあるんだと思ったが、この美術館の良さは公園的に美術館の周りにある恒久展示されたアート作品に、気軽に触れることができるということだ。

美術館の中に入ると、若干チケット制度が分かりづらいんだが一番メインの展示会のチケットを購入すれば、すべての展示が見れるようになっているらしい。
中もそこまで広くないので、1時間程度で気軽に見れてしまうのも良い。
有名というかインスタ映えスポットと化してしまったレアンドロのプールは、密を避けるために少人数で5分しか滞在できないようになっていた。そのため大体30分から1時間待ちと、長い列ができる。平日に訪れておいてほんとうに良かった。

個人的に好きだったのはカプーアの作品で、真っ白な部屋に黒い円形が設置されただけのミニマムな空間。見ているとそれが丸なのか卵形なのかよくわからなくなり、どこか吸い込まれるような、不安になるような不思議な感覚がある。

他にもタレルの空の部屋なんかは、香川の直島にも設置されていたのをよく覚えている。

他にも3色のガラスを組み合わせたエリアソンの作品など、まぁぱっと見わかりやすい作品が有名なのだが、何より今回やっていた展示会の作品がよかった。それを見に来たわけではないんだから偶然良い展示会に出会えたのは幸運だったと思う。

ミヒャエル・ボレマンスとマーク・マンダースによる共同の展示会は、ダブルサイレンスと評した「静寂」と言う両者に共通したものをコンセプト化した、非常に面白い試みだった。

マンダースは大型の彫刻作品でエジプトやイランなどにあるような乾いた地の遺跡にある巨像を思わせる。演出なのかもしれないが下を見ると、細かい土がしたり落ちていて、あまりの大きさにどうやって輸送したのか気になってしまった。

変わってボレマンスはもともと写真家で、現在は油絵を中心に人物画を中心とした激うまの作品が並ぶ。
その油絵を目の前にすると単色のように見える背景にも非常にたくさんの色から構成されていて、これを読み取る目と表現する技術には改めて驚かされる。ただ知らないだけなのかもしれないが、僕はそれを知覚できていない。気付いたら何か世界は変わるのだろうか?

 ひとしきりというか充分すぎるほど展示品を見を見たので、近くの兼六園に移動することにする。ここは日本の3大庭園の1つである金沢城の外庭である(と言われてもピンとは来ない)。

日本人と言えど、今や日本的な建物や家屋・庭に触れる事はほとんどない。精神的にはよくある風景のように感じつつも、ここまで和風の風景が密集していると改めて日本庭園の良さに気付かされることがある。
精神が年齢に近づいてきたからなのかもしれないが、ピカソのように歳を重ねると不要なようなものが削ぎ落とされていって、ある種ミニマリズムを獲得するようになってるのかもしれない。年の功ってやつ?


 旅行に来ると1番困るのは、いつも食事だ。あまり食べ物に興味がないし食べれないものも多い。その上独りだから分け合って食べることもできないので無駄にお金がかかってしまう。
最近はそういうこともあって考えるのがめんどくさいので、ガイドブックに載っている店に素直に行くことにしている。

今日行ったのは香林坊にある「グリルオーツカ」。金沢のソウルフードなハントンライスを食べる。基本的にはオムライスなんだが、ケチャップとタルタルソースに白身魚のフライが乗っていて結構パンチのある味。量も多かったので少なめをチョイスした。
GOTOトラベルにつきホテルに着いたら地域で使えるクーポンをもらえたのだが、これはほとんどの店が使えるようになっていた。2日間しか使えないのが、滞在中はすぐ使うことになりそうだ。

 夜、20時にはご飯をすませホテルに戻る。パソコンやiPadが無いのでやることが無い手持ち無沙汰な感覚があるのだが、むしろこのやることが無いがなくて早く寝ざるを経ない環境のために旅行に来ている。
ホテルは比較的近くにある、文字通り変なホテルに宿泊した。受付になぜか恐竜がいるのだが、それがハライチの漫才を思い出させてくれて面白い。
部屋もちょっと和風の作りになっていて、狭いながらも居心地が良かった。

美術館から兼六園、金沢城跡まで近場ながらぐるっと回って、今日だけで歩いたのが24,469歩。会社に行くと8000歩、普段家から出ないと2,000歩程度だから、かなり歩いた感覚がして運動的にもいい気がする。足は比較的痛いが。

明日は少しゆっくりして温泉地に足を伸ばそう。

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