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女装をして街に出た僕は、好奇な目線を浴びていた。

LGBT差別的発言の足立区議、謝罪拒否「不快と思っても別に良い」
https://news.yahoo.co.jp/articles/41aed365f484dfa5c3fb0cfdd66e007a956f6c31

足立区議のLGBTに関する発言が世間を賑わせており、SNSでも様々な意見が飛び交っています。

それぞれの立場があり、それぞれの意見がある中で、僕の体験談を読んでいただければありがたいです。
男性の僕が高校生のときに女装したことを書きました。



僕は高校生の頃、私には女装願望があった。
その願望を果たすため、女装をして横浜の街へ繰り出した。
願望を果たしたと同時に得たものは、普段ならば絶対に浴びることのない、街を歩く人々からの奇妙な目線だった。

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同じ部活動だった同級生の女子に「女装してみようよ!」ということを言われ続けていた。
恥ずかしさと照れもあり、それとなくかわしていたが、心の奥底に置いてあった女装への憧れは少しずつ膨れていた。

なぜ女装したかったのかはよくわからない。

テレビのコント番組で見ていた芸人さんの女装に刺激されていたのか、「可愛い」と言われたいのか、はたまた変身願望なのか。
一概にはよくわからないが、女装をしたいという気持ちであったことは確かだった。

そして高校2年生の秋、女装をして街へ出ることになった。

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事前の作戦会議で、僕と友人で女2人よりも、女3人で行動した方が街に溶け込めるのではという話になり、「付き添いだよ?付き添うだけだよ?」と言いながら好奇心が身体から溢れてしまっている部活の先輩も同行することとなった。

女装を誘ってくれていた女子の家に集まり、メイクをして、ウィッグを被り、パーカーとプリーツスカートを纏い、肌色のストッキングを履いた。

全身鏡の前に立っていたのは、紛れもなく僕なのだが、僕ではない人物だった。

女装に誘ってくれただけあって、高校生でもあるし、まぁ、男性っぽさは薄れていたのだと思う。
通りすがりの人だったら男性と思われないか、じっくり見られたら気が付かれてしまうのだろうか。

友人から普段とは違う名前で呼ぶことを決めて、いよいよ街へ繰り出すことになった。

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女装あるあるであろう、スカートの股下に何もない違和感。
歩き方も鞄の持ち方も何気ない仕草も、どことなく気になってしまう。
声を聞かれてしまうと完全に男なので、小声で友人にしか話せない状態だった。

見た目は女3人の仲良しグループで電車に揺られて降り立った街は、川崎。

土日のラゾーナ川崎は人混みで溢れかえっていた。
女装をしているということに気が付かれているのだろうか、変な目で見られていないだろうか。
羞恥心で耳は朱に染まり、前を歩く友人の肩に隠れながら歩き続けていた。

友人に手を引っ張られ、ショッピングモールを巡る。

アパレルショップの店員さんに話しかけられ狼狽えたり、店員さんが歌いながら作ったアイスを食べたり、トイレをひたすら我慢していたり。

女装をして家から出たときはその辺の穴に隠れたい気持ちしかなかったが、ショッピングを続けるにつれて爽快感のようなものが芽生えつつあった。

女装をするだけで川崎の街が変化していた。
見た目の性別を変えるということは、僕の心に大きな刺激を与えていた。

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川崎でのショッピングを終えた3人は、帰りの電車に乗り込んだ。

夕方の混みあった社内で3人は携帯電話を操作していた。
つり革を片手で持ちメールを読んでいた僕の前には60歳代と思われる夫婦が肩を並べて座っていた。

叔母様が僕に向かって人差し指を向けながら、隣の叔父様に耳打ちをするように会話をしていた。
恐らく、僕が女装をしているということを伝えたかったのだろう。




以上が僕の体験した約10年前の話。

そして時代は巡り2020年。

LGBTという言葉が広まり、時代は多様性を求めています。
高校生の僕は異性の服を好んで着る「トランスヴェスタイト」というセクシュアリティにカテゴライズされているようです。

少なくとも、どこかの誰かが女装をしているからといって、電車の中で指を刺されてしまうようなことが無くなる時代になることを願っております。

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