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寝転がって ただ 夜を ながめる。


こんばんは。 noteさん。

久しぶりのまぶしさで始まった日は、すべてのものが軽やかな気がします。
落ちた影が爽やかな風に揺れて、もう季節は変わったと教えてくれました。


ほんの数日前は、こんな穏やかな陽気になるなんて、
想像できないくらいの、空模様でしたね。

何年ぶりかの、皆既月食。

天体観測をする、なんて、
これまで数えるくらいしか、してこなかったのに、
今年はいつもより大きく見える、満月です、なんて言われると、
やっぱり気になって、つい見てみたくなってしまいました。

去年のふたご座流星群が見えた日には、
部屋の窓から、たくさんの流れ星を数えました。
とても大きくて、はっきりと見えたので、
初めて、お願いごとを唱えたりして。
人生でいちばんの、ロマンチックに出会えた、素敵な時間でした。


そんなときを、また味わいたくて、
今回も薄暗い空を見上げてみたけれど、
敷き詰められた雲と、小さな粒の雨音が聞こえるだけで。
望みをかけて何度も見ては、
相変わらずの状況に、とても残念な気持ちでいました。


でも、ふと思い立って、調べてみたら。
テレビではなかった、ありのままの様子を、
映像で見ることができたんです。


画面いっぱいに、
輝いている、
まあるい影と、光のかたまり。


天体観測は難しいなって、ずっと思っていました。
夏は、流れる汗と虫が気になって、じっとしていられなかったり、
冬は、冷え切った身体も、かじかむ指先の痛さも、だんだん辛くなったり。
おまけに、見ていたい気持ちよりも早く、おんなじ姿勢の、限界が来たりして。

神秘的な時間に集中できない、なんて、
本当にもったいないって。
頭の半分で違うことを考えている、自分が、
とても残念で、悔しい気持ちがあったんです。


映画みたいに、
寝っ転がって、
ただ空を見て、
星や月との時間を楽しみたい。

そんな、あこがれていた、シチュエーション。

叶うことはない、と思っていたことが、
ボタンをひとつ、押しただけで、
現実のものになるなんて。
去年のわたしが、まだ出会っていなかった、
あたらしい世界でした。



だから、ただ月を見ていました。


流れる雲に、ときどき隠れてはまた現れて、
少しずつ欠けていく、小さくなった光は、
細い線になるまで、ゆっくりと重なっていきました。

ベッドに寝転んで、部屋も真っ暗にして。
邪魔するものは、何にもなくて、
そこにあるだけの、空間。

画面いっぱいの、月と、
わたしだけの。

音もなく、静かに進んでいくそのすがたに、
宇宙と、自然と、時間を、
感じながら。



なんにも考えていないつもりだったのに、
いつの間にか、真っ直ぐに、
わたし、と向き合ってしまっていて、
なぜだか、涙がこぼれていました。

真っ暗になった空に、
まぶしい光がありのままの姿に戻っていくのを、
わたし、になる前の、生きもののまま、
受け止めていたような、気がします。


それから、
何千年前の、誰かも、
こんなふうに夜空を見上げることがあったのかもなって、
繋がっている不思議に、あったかくなりました。


あこがれから、何かがうまれた、
とても満たされて、忘れられない夜でした。



追伸。
次に同じ条件で見られるのは12年後、なんだそうです。
そのときの、わたしもまた、
どこかで空を見上げていられたらいいな、と思います。





 最後まで、読んでくださって、ありがとうございます。。