見出し画像

祖母の夢

 祖母の夢を見た。
夢に出て来たのは父方の祖母で、ずいぶん前に亡くなっている。
夢の中で祖母は古い二階建ての家に住んでいた。
夢の始めその家は私が子供の頃に父母と祖母と妹たちと実際住んでいた三階建ての家であったが、途中から二階建ての違う家になった。
私の夢ではそんな事がよくある。
あれ?住んでいた家と違う家になった、と夢の中で私は思う。
どの夢でもこういう事が頻繁にあって、いつもこういう風に私は思う。
 その家は木造で縦に細長くとても華奢に見えた。
風が吹いたら吹き飛ばされそうな、倒壊しそうな家であった。
玄関は磨りガラスに木の格子の引き戸で、二階も正面に大きなガラス窓があり、採光は充分であろうが地震にあったらひとたまりもないだろうと家を見上げながら思った。
 玄関を開けると一階の居間に祖母がいた。
祖母は私に母の事について「✖️✖️子さん、急に出て行ってしまうから」と母が家を出て行って驚いた主旨の話をした。
現実では祖母と母は仲が悪く喧嘩が絶えなかった。父は女ばかりの5人兄妹の唯一の男子で我々家族は父の実家で祖母と同居していた。祖父は五十になったばかりの年に亡くなっていて私はほどんど記憶がない。
私の父は祖父より寿命が短かった。四十になったばかりの年に亡くなった。父が亡くなり祖母と仲が悪かった母と私たち子供は家を追い出された。
 現実に起きた事は夢の中ではなかった事になっていた。
夢の中で祖母は母が急にいなくなった事をただ驚いていたし、母も祖母が嫌で家を出て行った事にはなっていなかった。
「じゃあ私がここに昼間住むよ。ここで仕事をするよ」と私は言った。
現実でどこか他のところへ引っ越したいな、と思っているのと、自分の部屋がないので自分の部屋が欲しいと思っているのが夢に現れたのだと思う。
そして夢の中の私は、毎日祖母の着物姿を見られるな、と思って少し嬉しくなっていた。
 父方の祖母も母方の祖母も普段は着物を着ていて寝るときも浴衣だった。
きっちりした着付けの、ちょっと肩が凝りそうな着物ではなくて、祖母たちの着物は生活の中に普段着としてあった。
生まれてからずっと洋服を着ている私には掃除洗濯料理をするのに着物では動きづらいのではないかと思ってしまうけれど、祖母たちはいつもテキパキと動いてそんな事は微塵も感じさせないかった。そして着物姿の祖母は粋でおしゃれに見えた。だから祖母が生きているうちにそんな着物の着方を教わっておけばよかった、と思っていたから夢の中で喜んでいたのだと思う。
 覚えているのはここまで。
この夢には前の部分があったような気がするが覚えていない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?