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ボーズとCDとカセットと

11月14日
 目が覚めるまで夢の中でずっとバッハのカンタータ「私は満ち足りている」のアリアがなっていた。
「まどろみなさい、疲れ切った目よ」とエマ・カークビーが優しく歌っていた。
 昨日はCDの整理をしていた。
CDの束のいちばん上にあってジャケットの写真がずっと見えているけれど、目にとまる度、このCDなんだっけ?と思うだけで確かめなかったCDがあった。
 今日になって夢で流れていたアリアを聴きたくなって探してみると、それがこのCDだった。
「ほら、これですよ。この曲」と夢で聴かせてくれたのかな。

11月15日
 目が覚めるまで夢の中でずっとバッハのイギリス組曲がなっていた。
最近、ボーズのCDラジオが壊れた。
20年前買った当時は高かった。思い切って買って、小さいのに音が良くてびっくり。いい買い物をしたと思った。
 ちょうどカセットテープが他のメディアに移行していった時期で、ポータブルデッキから「カセ」がとれた頃だった。今でも私はCDラジオのことをついCDラジカセと言ってしまう。私の子供の頃はそれくらいカセットテープは生活に浸透していた。レコードを録音したり、テレビから流れる好きな歌手の歌声を録音したり。
「しっ!歌が始まるから黙ってて」
テレビの前で家族が笑うのをこらえ、咳、くしゃみをこらえた。ファンの私としては真剣だった。どのくらいの指の力で押せばスイッチを押した音が録音されないか実験したこともあった。
 ボーズのCDラジオはCDが動かなくなった。つい最近、カーステレオも壊れたし、持っているCDが聴けるものが災害用に買ったCDラジオだけになった。
ボーズには簡易のレコードプレーヤーをつないでレコードも聴いていたから残念だ。処分するしかないのかな、と話していたら昨日、音が出た。
我々の話、聞こえていましたか?


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