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#仕事ができる人は"思いやり"と"想像力"に長けている説

いつもお世話になっている方も初めましての方もこんばんは。
突然ですが、私は入社当初から『仕事ができる人になるには何をどう訓練すればいいのか』ということに対して強い関心を持っています。好き嫌いを問わず、日中の多くの時間を仕事に費やすのだから、どうせならお客様からも社内からも評価されたい、昇進・昇給したいという気持ちがあり、日々怒られながらも”出来ると評される”上司たちの言動を観察してきました。先日、『仕事ができる人とは』という問いに対して、私なりに一つの仮説ができたのでnoteにしたためたいと思います。

1. 仕事ができる人は仕事相手の行動・気持ちを想像する意欲と気力があり、その想像が一定以上の確率で当たる人なのではないか説

いきなりですが、これが私の仮説の全てです。タイトルにするには少々長すぎるのと語呂が悪いので、タイトルは”思いやり”と”想像力”という言葉に置き換えました。このように置き換えても抽象度が高いままなので、以下のシチュエーションで説明させてください。

さて、若手社員のあなたはある日、昼過ぎにお客様との会議を終えた後で上司から話しかけられました。
「お疲れ様。先ほどの会議の議事録をよろしくね」
「はい。承知しました。夕方18時頃までにはまとめてお送り致します」
「ありがとう。ところで昼食を一緒にどうだい?」
「お腹ペコペコなのでぜひご一緒させてください」
「僕もだよ。君はこの辺り(上司も自分も土地勘のないエリア)でどこか”いい店”を知ってるかい?」
仮にこのような会話があったとしてください。
あなたが若手社員だった場合、どのように返事をするでしょうか?
私が思うに、この会話のキーとなるのは”いい店”の定義だと思います。
皆様は、”いい店”ときいてどのような条件を浮かべますか?

一般的に”いい店”というと
・口コミ、ミシュランの評価が高い店
・テレビなどで取り上げられ知名度が高い店
・高級感があり、価格も高い店
・値段は安いけれど美味しい/量が多い等、コスパのいい店
等が挙げられるのではないでしょうか?
これらの条件は被っていることが多いため、多くの人は食べログやGoogleの口コミ等を参考にするのだと思います。

個人的に食べログやGoogleの口コミを参考にするのは1mmも悪いとは思いません。むしろ、「口コミで評価のいいXXというお店はいかがでしょうか?」と提案できる方は、何も調べないままに「知りません」と答えるよりも100倍できる部下だと私は思います。
けれど、仕事ができる人は凡人の提案よりも、より上司に刺さる提案をしてくるのが世の常です。仕事ができる人はおそらく以下のようなやり取りをしたうえで、お店を推薦するのだと思います。

仕事のできる若手社員のあなたは、脳内で上司の予定を確認します。
「昨日はXX社との会食で中華を召し上がっていますよね?」
「ああ、そうだ。XX社の会長は酒豪でね。付き合いで3軒はしごして飲んでいたせいで今日は二日酔い気味なんだ」
「それではあまり食欲はないですか?」
「……ああ、実をいうとあまり食欲はないな。ただ午後の予定を考えると今しか食事の時間が取れないから何か口にしておきたいんだ」
「分かりました。私の記憶の限りですとアレルギーのある食べ物はありませんでしたよね?」
「ああ。そうだ」
「では、今日は気温が低いですし、さっぱりと召し上がれる温かい蕎麦はいかがでしょうか。近くに評判のいい店があるみたいです」
「いいね。行ってみようか」
「畏まりました。ご案内致します」
なんともスマートなやり取りですね。

上記の①口コミだけ見て提案する部下と②上司の昨日の予定を確認したうえで食口コミが良い店を提案する部下の違いはなんでしょうか?
私は『上司に関する事前知識・情報から今の上司の状態を想像したかどうか』だと思います。

①の部下も悪くはないのです。むしろ並みの社員よりかは遥かに優秀かもしれません。けれど、”一般的ないい店”に引きずられすぎて、上司の気持ちや欲求を汲み取ることができてません。
それに対して②の部下は上司の欲求を複数見つけ出したうえで提案しています。

では②の部下はどうしてスマートに上司の欲求を見つけられたのでしょうか?その背景には②の部下が以下のように想像しているからではないか、と私は思います。

※『「発言」⇒発言の背景となった想像』で記載します
「昨日はXX社との会食で中華を召し上がったのですね?」⇒上司は食べることが好きなので、昨日召し上がったジャンルとは異なる食事を提案した方が喜びそうだ
「それではあまり食欲はないですか?」⇒話・顔色から上司は体調があまり良くなさそうである
「私の記憶の限りですとアレルギーのある食べ物はありませんよね?」⇒提案する内容の前提条件を確認するとスムーズなやり取りができ上司の時間を奪わない
「左様ですか。今日は気温が低いですし、さっぱりと召し上がれる温かい蕎麦はいかがでしょうか。近くに評判のいい店があるみたいです」⇒気温が低いので上司は温かいものが食べたいのではないだろうか。加えて二日酔い気味ならガッツリした食事よりはのどごしの良い食事を取りたいのではないだろうか

⇒の後に書いたのは全て部下の仮説であり、上司の欲求ではありません。けれど②の部下は、仮説の精度が良いため上司にささる提案をすることができました。
これが『仕事ができる』の正体なのではないかと私は思います。
事前知識・情報から相手の状態を想像し相手にささる言動を取れる人』のことを仕事ができる人と呼ぶのだと思います。

仮にこの定義が正しいとすると、ここで肝になるのは”どれだけ精度よく相手を想像できるか”という点です。的外れな仮説をたくさんぶつけると相手を不快にさせてしまうので、可能な限り精度の高い、筋のいい仮説を立てる必要があります。そのために必要なのが『思いやり』なのではないでしょうか。

意欲はあるのに相手の気持ちや行動を想像できないのは、多くの場合、相手に関する知識が足りないからです。そして、どのような知識を得ればよいのかという検討は、相手を思いやる気持ちがないと上手くいきません。
精度よく相手を想像するには、相手は何を望んでいるのか、相手は何が欲しいのか、相手はどんな気持ちなのかと、想像の主語を『私』ではなく『相手』にしなければなりません。このように書くと至極当たり前のように思えますが、考える際はどうしても自分ありきになってしまうので、意外と忘れがちな視点なのではないでしょうか。

2. 思いやりと想像力はどんな小さなタスクにも現れ、小さなタスクで実践できないヤツは大成しない説

この考えは私の考えではなく『変える技術、考える技術』という本からの引用です。1章で書いたことを会社の同期に話したところ、
『想像力、思いやりの話、めっちゃわかる。元BCGの高松って人も、「全ては愛と想像力だ」って言ってた』
と返事をもらいました。気になったので高松さんを調べると『変える技術、考える技術』という本が見つかりました。その第1章が『全てはここから始まる「愛と想像力」』であまりのシンクロ率に思わず笑ってしまいました。自分が考えていることは既に誰かが考えているものなのですね。

『変える技術、考える技術』は私が書いた1章に近い考えのもと、考え方を理解したらまず行動して、行動しながら思考方法を「愛と想像力」のあるものに変えていこうという趣旨で書かれています。
各事例に対して「ポンコツパターン」と「愛と想像力のあるパターン」を比較し具体的にどのように行動を変えるべきなのかを解説しています。例えば日程調整では以下の例が紹介されていました。

~ポンコツパターン~
「ぜひ、転職相談お願いします!今週でしたら、水曜日~金曜日の3時までですと都合がつきやすいです。来週は月曜日以外、高松さんの予定に合わせられそうです。どうぞ、よろしくお願いいたします」
~愛と想像力のあるパターン~
「下記でお願いできますでしょうか。6月6日(土)14時以降、6月7日(日)10時から15時まで」

この本で書かれていることはどれも当たり前と思えるようなことです。けれど、本書にもあるように『僕が伝えたいのは、やろうと思えば誰でもできる日程調整でさえ「愛と想像力」を持てないヤツが、「大きなことを為す」わけねーだろ、ということだ』に尽きるだのと思います。

How Toに関してはあまり目新しさありませんが、個人的には第1章の『全てはここから始まる「愛と想像力」』は読んで損はない内容だと思います。

3. 思いやりと想像力は相手に媚びへつらうものではなくすべての人間関係の基礎なのではないか説

『変える技術、考える技術』のAmazonレビューに以下のようなレビューがありました。

これはコンサルという業界、それも日本のファームにいる故にそうなるのかもしれませんが、言ってしまえば忖度チックな部分が非常に多いです。いかに相手を不快にさせないとか、楽にさせるとか、気持ちよくするとか、「愛」という言葉で包んでしまえば聞こえはいいのですが、その実ただ相手のワガママを肯定しているに過ぎない部分が見受けられました。
もちろん、痒いところに手が届き、極上のサービスを受けるというのはとても気持ちの良いものですが、それが本当に相手のためになるのかなぁという疑問が湧きました。
彼のしてきた仕事はこれでうまくいっていたのかもしれないが、多くの仕事では気に入られることが全てでなく、それよりも仕事の質の方を求められるだろう。
「気に入られるだけのためにここまではできない」と思う話が多く、その点であまり役に立たなかった。

媚びへつらって気に入られることへの嫌悪感からのコメントだと察しますが、思いやりと想像力は相手に媚びるものではないと私は思います。
特にビジネスでは皆、思い思いに動くので、意見を聞いてもらえないことは日常茶飯事であるはずです。その際に、こいつの意見なら聞いてみてもいいと相手に思わせる根底の信頼関係を築くものが、思いやりと想像力だと私は思います。相手に自分の提案を聞いてもらう準備を整えてからが仕事として本当の勝負所であるのは間違いありません。けれど、相手に提案を聞こうと思わせることができなければ、仕事は始まりません。私たちが人である以上、仕事に限らず、プライベートでも人との関わりは避けられません。恋人と出かけようにも、どこに行くのかを話し合う時点で揉めてしまってはつまらないですよね?

思いやりと想像力は、人と関わる上で必ず発生するコミュニケーションのコストを最小化し、最短で目的を達成するための1つの手段なのだと思います。ぜひ、思いやりと想像力を駆使してスマートに物事を進められたら良いですね。

~おわり~


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