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寝る前のメモ。


心にぽっかりと穴が開いたようである。右上の奥歯の奥にあったはずの「親知らず」はもういない。

不自然な収まりのよくない空間だけがただただ存在し、歯茎には多少の腫れぼったさを感じている。メリメリメリ〜ッという音は確かに聞いた。ものの数秒の出来事で、あっという間に抜かれてしまったわけだけれど、抜かれた歯を見せられながらなんとも言えない気持ちになった。長く虫歯とは無縁だったけれど、磨きづらい場所にあったその歯だけは、ちょっと虫歯になっていた。


いや、そうだったとしても。

この歯は抜いても良かったのだろうか。骨を抜くことで、脳へのダメージはなかったのだろうか。抜かなくてもいい方法があればそのまま生きていたかったと思うほど、右奥歯の奥の空間に虚無感を感じている。頭蓋骨もちょっと痛い気さえする。

舌の先でどれだけ確認しても、どれだけ後悔しても、もう歯は戻ってこない。


そして、この一連の流れは、一箇所だけで済むわけがなく、来月には反対の親知らずを抜くことが決まっている。下の方は歯茎の下に生えているので、厄介だとお医者は言っていた。

麻酔のせいか、対してやる気も起きず(それでももちろん、仕事はしたけれど)、虚無感のせいか、脳も働かず(それでももちろん、仕事はしたけれど)。


明日起きたら、どうかなんの違和感も感じませんように。

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