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ビルと山のあいだに。


ビルの隙間から見えていた夕日は、いつの間にかマンションの輪郭を包み、家々の屋根を照らし、山のあいだに消えていく。


電車に乗りながら、通過していくどこかのまちで生まれ育っていたら、どんな風に大きくなって、どんな風に暮らしていたんだろう。

そんなことを考えるのが好きで。


それはきっと、「生まれ育つ場所(少なくとも中学生くらいまでを過ごす場所)」は、生まれてくる子どもの意思で選べないからなのではないかと思う。

選択肢があふれている現代であっても、これだけはおそらく、選ぶことのできないものだから。


いろんなまちを行き来しながら、これからのことを考える。

暮らす場所を選べるようになった25歳の今、いくつかの理由で地元を選んだことは確かで。ただ、ひとつ言えるのは、たとえ、今後も関わり続けたとしても、決してここが終着地になるとは限らない。


「ひらけた空に水色とオレンジのグラデーションがあったら、きっとわたしはどこでも生きていける」

そんな淡い期待と、透明な確信をもちながら、今日も電車に揺られていた。


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