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三度泣いた〜呪いから力をくれる言葉へ〜

胃がんの告知を受けてから今日まで三度、泣きました。


一度目の涙

最初に内視鏡検査を受けたクリニックで検査結果を聞いた日の夜、
仕事を終えて家に帰るまでの道中で、両親への伝え方を考えていたとき。
娘ががんだと聞いてショックを受けるだろうこと、
際限なく心配させてしまうだろうことを思うと、ただただ本当に申し訳なくて。
そんなことを考えていたら、涙が止まらなくなりました。

私ががんになどならなければ、しなくていい心配なのに。

二度目の涙

入院した日の夜、消灯後すぐには寝付けなくて。
寝付けない理由は、いつも同じで、いろいろ考えてしまっているとき。

翌日には、手術前の説明を一緒に受けるために
両親が関西から上京してくることになっていました。
病棟の廊下や病室、談話室に両親がいる姿を想像したら、
また涙が止まらなくなって、嗚咽や鼻をすする音で
同室のSさんに迷惑をかけないよう、こらえるのに苦労しました。

上京も病院に来ることも、私ががんにならなければ必要なかったのに。

三度目の涙

抗がん剤を服用しはじめて、2週目に入った日の朝のこと。
『ラヴィット!』(TBS)でサンボマスターがスタジオで
番組のテーマ曲『ヒューマニティ!』のほか、数曲のライブを。
その中の1曲『輝きだして走ってく』を聞いたときに涙腺が崩壊しました。

告知を受けた日の夜道も、入院初日の夜も、
人が突然現れる可能性があったり、周囲に人がいたりで、
こらえなきゃと思っていましたが、このときはひとり。

「大丈夫」。
我慢する必要などなかったから、歌詞の中にあるその言葉で号泣しました。

呪いの言葉から力をくれる言葉へ

私は「大丈夫」という言葉が大嫌いでした。
少し前、「大丈夫は魔法の言葉」とナレーションが入るCMがあり
(今もシチュエーションを変えて、同様のナレ入りCMが流れています)、
それを見るたびに、「大丈夫は呪いの言葉だ」って思っていました。

人から「大丈夫?」と聞かれて、
「大丈夫じゃない」と言える素直な人間ではありません。
たとえ大丈夫じゃなくても、「大丈夫?」には「大丈夫」という答えしか
がんばってしまう質の私にはないのです。

だから、「大丈夫」という言葉は、
大丈夫だと言わせて無理をしてしまう、私にとって呪いの言葉でした。

でも、『輝きだして走ってく』の「大丈夫」は、私に力をくれました。
「大丈夫?」ではなく、「大丈夫!」にはパワーをもらえるんだなーって。
1月の入院時に同室だったSさんからも、「アンさんは大丈夫!」って言われて、
すごく励まされたし、元気をもらいました。

変わらず「大丈夫?」は大嫌いだし、「大丈夫じゃない」とは言えません。
大丈夫じゃないって言ったら、心配をかける、負担になるって思っています。
でも、「大丈夫!」は違う。

三度目の涙のあとから、「大丈夫!」は呪いの言葉ではなく、
力をくれる言葉になりました。


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