4文小説 Vol.33
久々にありつけた「仙太郎」のおはぎ、むかし親戚一同が集ったとき、大盤振る舞いしてくれたのは祖母だった。
紫蘇入りで塩気を帯びた上品な甘みは、酒も煙草も嗜んでいたのに、あんこにも目が無かった祖父を思い出す。
二人の昇った空を見上げ、薄い雲の切れ間から見え隠れするほの白い光に、もう一人が偲ばれる。
お父さん、今年も、あなたのいない20回目の秋が来ます。
―仏間で月見
久々にありつけた「仙太郎」のおはぎ、むかし親戚一同が集ったとき、大盤振る舞いしてくれたのは祖母だった。
紫蘇入りで塩気を帯びた上品な甘みは、酒も煙草も嗜んでいたのに、あんこにも目が無かった祖父を思い出す。
二人の昇った空を見上げ、薄い雲の切れ間から見え隠れするほの白い光に、もう一人が偲ばれる。
お父さん、今年も、あなたのいない20回目の秋が来ます。
―仏間で月見