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強すぎる代表に思う Footballがライフワーク Vol.45

ワールドカップアジア最終予選の戦いは、いつも厳しくなる。あながち、メディアの煽り文句ではないだろう。直近2大会も例に漏れず、ヴァヒド・ハリルホジッチ監督のもと臨んだロシア大会最終予選では、初陣のUAE戦で敗戦。前回のカタール大会最終予選でも序盤の3試合で2敗を喫し、当時は森保一監督の解任論が囁かれていた。

フットボールには世界共通の傾向があって、大量得点を挙げた直後のゲームは苦戦しやすいのは、その一つだと思い込んできた。10年前のブラジル大会を制したドイツにしても、7得点で叩きのめされた開催国に「ミネイロンの悲劇」と言わしめた準決勝の直後、アルゼンチンとの決勝では延長までスコアレスだった。

強大なチームには、どんなジンクスや傾向も無関係らしい。厳しいはずのアジア最終予選を、非の打ち所がない内容で滑り出した。ドイツばりに7得点を浴びせた直後のアウェーゲームでも、大量5得点。同じグループのサウジアラビアは初戦でドロー、オーストラリアは2試合未勝利を強いられているのだから、急激に2極化したわけでも、特に組み分けに恵まれたわけでも無さそうなのに、わが日本代表は、いつの間にか強大なチームになっていた。

これほど前傾姿勢を強め、持てるタレントを共存させることに主眼を置いたシステムも記憶にない。左右のワイドに三笘薫と堂安律、インサイドに久保建英を配した3-4-2-1は、圧倒的にボールを支配して相手を自陣に押し込んだ状況では、3-2-4-1とも3-2-5ともなり得る破壊力を発揮している。

中国戦、堂安のインスイングのクロスを逆サイドの三笘が頭で合わせた2点目は鮮やかだったが、現在のチームの強さはむしろ、その直前に垣間見えた。中国にカウンターを与え、振り切られそうになった遠藤航がスライディングでつついたボールを、プレスバックして回収したのは南野拓実だった。基本ポジションは久保と並列の1.5列目ながら、鋭い動き出しで2得点を奪うのみならず、中盤に降りて組み立てに参加し、献身的な振る舞いでマイボールの起点にもなり得る選手がいてくれたら、かつてのアルベルト・ザッケローニ監督も3-4-2-1を諦めなかったかもしれない。

かくも強く、充実した日本代表の姿を堪能しても、どこか満たされず、一抹の寂しさが付きまとうのは気のせいだろうか。大学時代、ジーコ監督が率いた日本代表は、現在に比べればいかにも不安定でアンバランスだった。けれども、そのぶんスリリングなゲーム展開が多く、スター性を備えたメンバーも相まって、現在より世の中の話題の中心に立っていたような印象がある。人気と実力、その両立を願うのは高望みかもしれないが、たとえば野球界には、「50-50」の達成が期待されるスーパースターだっているのだ。

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