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職場で寝泊まりした夜 運動神経が悪いということ Vol.42

腕を組んで、机の上にうつ伏せる。こんな姿勢で寝るなんて、学生時代の授業中以来だ。若かりし頃のようにそのままでは寝付けず、ロッカーからタオルマフラーを持ち出した。青地に、日の丸。一昨年の日本代表戦を現地観戦した思い出が、枕代わりになる日が来ようとは。

先週の後半、仕事で追い詰められた私は帰宅できず、職場の自席で一夜を明かす羽目になった。翌日の会議資料が、前夜になっても仕上がらない。時刻は23時を回り、所要1時間半を超える帰路に就く気持ちも萎え、そのまま居残ることを選んだ。ブラック企業か、社畜のような体験。一生涯、御免被りたいと思っていたことが、とうとう現実になってしまった。

その日は21時頃から日本代表戦の中継があったが、視聴を諦めた。相手はミャンマー、予選通過はほぼ確定的という条件を差し引いても、ライフワークたるフットボール観戦への興味が殺がれるなど、平時ではあり得ないことだ。本来は旺盛な食欲は落ち、風邪の症状もないのに微熱の日がある。忙しくなった仕事に、あらゆるものが蝕まれている。

先週は、初めてのメールも受信した。2ヶ月連続で残業時間が45時間を超えたことによる、産業医面談の打診だった。「渡りに船」かと受け止め応じてみることにしたが、はたして何を話せばよいのやら、週末も気が休まらなかった。この日常から逃げ出したい、いっそ仕事を辞めてしまいたい―机に伏せながら頭によぎっていた想いを、どう表現すればよいのだろうか。

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