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束縛の日々 運動神経が悪いということ Vol.22

腹の調子は慢性的に悪いのだが、トイレへ駆け込むのはたいてい、朝方の始業前後だ。そんな時間帯は、常に肩も重い。腹痛と肩こりは、きっと相関しているのだろう。社会人歴は満15年を過ぎ、30代もあと半年だというのに、私の日常は相変わらずこんな有り様だ。

いまの仕事は、月曜日に定例の会議があって、シフト業務の担当が火曜日から木曜日にまたがっている。休暇を取得したい気持ちは人一倍なのだが、平日4日間が予定で埋まる状況では、なかなか難しい。急速に秋めいて厚地の掛け布団を覆うようになった今朝、二度寝の末に起きると8時を回っていて、一時の不眠を数年越しで克服できたのを実感するが、いまも平日はアラームが鳴る前に目覚めることが多い。早く起きろ、月曜から木曜までは休むな―雇われの身は、日々あらゆるもので縛られている。

大仁田厚か、はたまたキリンの缶コーヒーか。はじめてその言葉を聞いたときはあらぬことを連想したが、経済的な独立(Financial Independence)と早期退職(Retire Early)を組み合わせた造語なのだとか。密かな願望との結びつきもあり、にわかに興味を持ち始めたのだが、関連書籍が売り上げの上位に入っているあたり、同志は少なくないらしい。金曜日の仕事帰り、書店に立ち寄れば凝り固まった肩も不思議とほぐれ、人気書籍のコーナーに並ぶライオン兄さんの異名をもつ山口貴大氏の著書に手を伸ばした。

就寝前に本を開いてはみたが、肩が収まると頭の痛みが表れ、最初の数ページを読むだけで力尽きた。眠りたい、休みたいの衝動を抑えながら取り組む仕事で、四十路目前の身体はずいぶん疲弊している。最長でも満55歳に定めている退職のときを、さらに前倒しできないものか、目下の関心はそこにある。責任やらノルマやら、私の手や足を縛る一切を、FIREでもって焼き払えないだろうか。

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