見出し画像

Jリーグをめぐる旅について Football がライフワーク Vol.11

全国各地のスタジアムを巡り、街歩きやグルメとともにJリーグのゲームを堪能する。それは2007年の就職以降、毎年続けてきた私的恒例行事で、略してJ旅と呼んでいる。優先してきた目的地は、フットボールの専用スタジアム。改修前の旧国立競技場を訪れた2013年以降は、茨城のカシマスタジアム、横浜のニッパツ三ツ沢球技場、博多のレベルファイブスタジアム、磐田のヤマハスタジアムと続き、一昨年は大宮のNACK5スタジアムまで赴いた。スタジアムとは、クラブにとって最大の財産になり得るものだと思う。いくら強いチームでも全試合勝つのは不可能だし、どんなに優れた選手も毎試合活躍することは出来ないが、魅力的なスタジアムが来場者に提供してくれる感動は、ゲームの結果に関わらず常に保証されるためだ。

フットボールのファンとして、秋が深まると嬉しいのは、デーゲームが増えてスタジアムに青空が戻ってくることだ。ルヴァン杯の決勝といえば毎年のように好天に恵まれる美しい秋空が見どころの一つで、冬の選手権を目指す高校生の戦いも各都道府県で佳境を迎えている。J旅はもともと、まとまった休みをもらいやすい夏場が中心だったが、スタジアムとピッチの鮮やかさが際立つのは青空のもとだと確信して以来、秋の声が聞こえ始めると今年はどこに行こうか考えるようになった。

全14回を振り返れば、グルメの部門でもっとも印象深いのは磐田への経由地となった浜松で、昼の餃子に続き夜は鰻と、全国に轟く名物はどちらも納得の味わいだった。有名でも当たり外れはあるものだが、駅の近場だけでいくつも居並ぶかの地の鰻屋は、自分のなかでは一番美味しいと思ってきた神戸の店も凌ぐほど大当たり。あれも3年前、自由に行動できた時間が懐かしい。

コロナ禍で長距離移動が憚られた昨年は、京都の亀岡に新たな専用スタジアム、サンガスタジアムby KYOCERAが誕生してくれたのが幸いだった。瓦屋根や木材を採用した外観は京都らしく、ピッチ付近の座席からは22人のプレイヤーを全て視界に捉えることができる。この企画で自らに課すルールは、ホームチームの1日限定サポーターになること。去年はオランダ人センターバックのヨルディ・バイスが抜群の存在感を見せた京都が、J2首位の徳島に快勝してくれた。J旅が無ければ、生涯のうちに佐賀の鳥栖や千葉の柏へ足を運ぶ機会は無かったかもしれない。長年の投資がようやく実りの時を迎えたか、ホーム5連勝。わが神戸はACL出場圏を固めつつあるが、今年も1日かぎりの目移りを許してもらいたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?