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#おじいちゃんおばあちゃんへ
4文小説 Vol.10
「クリスチャンやないんやし、そんなんかまへんよ」96歳の大往生、葬儀が13日の金曜日になって、母と祖母が交わした会話を覚えている。
鵯越の斎場から戻るバスの車中、夕陽を浴びた紅葉に目を向けながら、隣に座った祖母が「一人になったけど、気楽になるわ」とつぶやき、「俺、お婆さんに似たんかな」と返したことも。
今や祖母は車椅子生活、会話もままならなくなっている。
もうすぐ6年、私にはまだ新しい記憶で
4文小説 Vol.9
日の入りが早くなり、夜は7時を待たず暗くなる近ごろは、明るいうちに帰宅するのが難しい。
この頃になると小田和正のオフコース時代の名曲が染み入るが、憧れのシンガーと同じ誕生日の祖母は、今年で96歳を迎えた。
3年ほど前まで一人で生活していたのが、負傷と病が重なり歩行できなくなって以来は施設の世話になり、認知機能の衰えも進行してきたものの私たち母子の呼びかけには応えてくれていて、感染対策の隔離が解