古代の文献から時を算出する-ティルスとネブカドネザル
日本の総理大臣がAさんで、その時のアメリカの大統領がBさんだったとする。
Aさんが日本で総理大臣になってから3年目の年は、Bさんがアメリカで大統領になった2年目の年と同じ。
もしAさんの名前が鈴木さんで、歴代の総理大臣に鈴木さんが何人もいたらどの鈴木さんの時かが分からなくなってしまうかもしれないが、その時のアメリカの大統領がBさんであるということが分かれば、どの鈴木さんのことを言っているかが特定できる。さらにその鈴木さんのお父さんの名前も記録するならさらに特定できる。
時を正確に伝えようとする努力がこのような書き方から明らかになる。
エレミヤ25章
ユダの王,ヨシヤの子エホヤキムの治世の第4年,すなわちバビロンのネブカドネザル王の治世の第1年に(西暦前625年頃),エレミヤはユダの民全てに関する言葉を受けた。
「私に仕えるバビロンのネブカドネザル王を呼び寄せ,彼らにこの土地と住民と周囲の国々を攻めさせる。それらを滅ぼし尽くし,恐怖の光景に変え,ずっと荒廃したままにし,人々がそれらに向かって口笛を吹くようにする。これらの国の人々は70年の間バビロンの王に仕えなければならない」』。 エホバはこう宣言しています。『しかし,70年が満了した時,私は,過ちを犯したバビロンの王と国民に責任を問う。そして,カルデア人の土地をいつまでも荒れ果てた所にする。
エレミヤは自分が預言を知らされた正確な時を記録し、エルサレムが荒廃する期間が70年であることを記録している。後にエルサレムはバビロニア帝国に滅ぼされ人々はバビロンへ捕囚として連行された。
ダニエルはエルサレムが陥落する前にバビロンに捕囚となった人物であった。彼はバビロニア帝国が滅びた西暦前539年にそこにいた。エルサレムへの帰還もまた予告されていたため、バビロニア帝国の滅びを期にいつ帰還できるのか調べた。
ダニエル書9章
アハシュエロスの子ダリウスの治世の第1年(西暦前539年ないし538年)のことである。ダリウスはメディア人の子孫で,カルデア人の王国の王とされた。その年に,私ダニエルは書物を調べ,エルサレムの荒廃が終わるまでの年数を知った。それはエホバが預言者エレミヤに語ったもので,70年だった。
ダニエルはこの70年をおおよその数としては捉えていない。ダニエルは当然いつエルサレムが陥落したのかを知っていた。そこからぴったり70年を数えエルサレムの荒廃が終わるまでの年数を知ったことが分かる。
イスラエル人がエルサレムへの期間を果たしたのは西暦前537年であった。ダニエルはエルサレムの陥落した年である西暦前607年から70年を数えていた。
エルサレムへの帰還から20年ほど後にゼカリヤもその70年に言及している。
ゼカリヤ7章
ダリウス王の治世の第4年,第9の月つまりキスレウの月の4日(西暦前518年12月1日ごろ)に,エホバはゼカリヤに言葉を伝えた。
「この土地の民全てと祭司たちに言いなさい。『あなたたちは,70年にわたって第5の月と第7の月に断食をして泣き叫んだ時,本当に私のために断食をしたのか。
これらはほんの一例にすぎないが、聖書筆者はここまでしっかりと日付を記している。
ネブカドネザルが手を焼いたティルスの征服についてはエゼキエル書からその時を推察することができる。
エゼキエル書1章
第30年,第4の月の5日,私は捕囚の民の1人としてケバル川のほとりにいた。すると天が開かれ,私は神の幻を見始めた。それはエホヤキン王が捕囚にされて5年目の,第4の月の5日のことだった。
エゼキエルは、エホヤキン王が捕囚にされた年を起点に記録している。
エゼキエル書26章
第11年,その月の1日(西暦前607年頃),エホバが私に語り掛けてこう言った。『私は,北からバビロンのネブカドネザル王にティルスを攻めさせる。彼は王の中の王であり,馬,戦車,騎兵,大きな軍隊と共に来る。 彼は本土の町々を剣で滅ぼし,包囲壁を建て,あなたを攻めるための土塁を築き,あなたに向かって大盾を構える。破城槌であなたの城壁を打ちたたき,おので塔を打ち壊す。 彼の馬があまりに多いので,あなたは土ぼこりに覆われる。人々が城壁の壊れた都市になだれ込む時のように,彼があなたの門を通って入る時,騎兵と戦車の車輪の音のために城壁は揺れる。あなたの全ての通りは彼の馬のひづめで踏みにじられる。住民は剣で殺され,巨大な柱はどれも倒れて砕ける。彼らはあなたの資産を奪い取り,商品を略奪し,城壁を壊し,立派な家を打ち壊す。そして,あなたの石や木材や土を海に投げ込む』
映画の予告編は、上映される前に発表される。上映期間がすぎてから予告編があとから出てくることなどない。つまり、ティルスの滅亡に関する預言は西暦前607年以降に成就することになる。エゼキエルはこの預言を記録してから16年ほど後に別の預言を与えられた。
エゼキエル29章
第27年,第1の月の1日(西暦前591年),エホバが私に語り掛けてこう言った。 18 「人の子よ,バビロンのネブカドネザル王はティルスを攻め,軍隊に重労働を課した。どの頭もはげ,どの肩も擦りむけた。しかし,王と軍隊は,ティルスを攻め落とすための労苦に対し,何の報酬も得なかった。 19 それで,主権者である主エホバはこう言う。『私はエジプトをバビロンのネブカドネザル王に与える。彼はエジプトの富を運び去り,多くの戦利品や略奪品を手に入れる。それが彼の軍隊のための報酬となる』。
この預言は主にこれからエジプトに臨むことが記されているが、ティルスが攻め落とされたことは過去形で記されている。
それでティルスがネブカドネザルの侵攻を受けたのは西暦前607年から591年の間であることが分かる。
古代の歴史家ヨセフスの記録によると、その攻囲は13年続いたようだ。
エゼキエルは預言の成就を目撃して何を思ったのだろうか。
ペテロ第二1:19
それで,私たちにとって預言の言葉はいっそう確かなものとなりました。預言の言葉は,暗い所で輝くランプのように皆さんの心の中を照らします。夜が明けて明星が昇るまで,皆さんがそれに注意を払っているのは良いことです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?