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リップサービス
「ことば」を扱う仕事をしているものとしては、基本的に「ことば」には価値があると思っている。
人間は「ことば」を使うことによって、相手とより正確に意思疎通できているのだろうし、人を幸せにすることもできる。
もちろん傷つけてしまうこともあるのだけれど。
わたしはもともと「嫌味」を受け取るのが苦手だ。
相手が嫌味を言っても、嫌味だと気がつかない。
ニブイのであろうが、幸せなことだとも思っている。
日本人特有の「遠回しな言い方」も苦手だ。
相手の本意がわからなくて、「で?何が言いたいの?」と聞いてしまう。
少し虫の居どころが悪いときには「どうしてはっきり言わないの?」と言ってしまう。
これは学生に日本語を教えているときにも言うのだけれど、
「日本人はこんな遠回しな言い方を好むけれど、わたしははっきり言ってもいいと思うな〜」と言うようにしている。
そもそも、伝え方を決められる必要はない。
そして、「リップサービス」だ。
辞書で意味を調べてみると、
「口先だけで調子のいいことを言うこと。世辞。」 と出る。
わたしはこの「リップサービス」も苦手だ。
口先だけで良いことばを使い、相手を酔わせる。
きっと本当に酔わされてしまったら、気持ちがいいのだろう。
けれど、「あっ、これはリップサービスだ」と気がついてしまったことばには決して酔うことができない。
むしろ、「今のはリップサービスだ…わたしはどんな反応を見せてあげればいいのだ…」と相手がどんな反応を望んでいるのかわたしの頭の中はフル回転する。
酔わせたいならちゃんと酔わせておくれよ。
Amy
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