ONの休み / OFFの休み
夕方、いつもどおり近所のスーパーに、いつもどおり夕飯の食材を買いに行く。出入り口付近の特売コーナーには、ふだんはトマトやナス、ピーマンなど旬のお野菜がならんでいるが、そういえばここ数日はお見舞いを思い出すような果物がならんでいる。
メロン、ぶどう、もも、スイカ…。
そういえばなんだかやけに人が多い。
ふだんこの時間といえばおじいちゃん・おばあちゃん方がほとんどだが、決して学生にはみえない大人の姿もちらほらみられる。
そこでようやく思い出す。
世の中は今、お盆休みが進行しているのだと。
我が家はお盆休みがないから、すっかり頭から抜け落ちていた。
あーあ。わたしも休みたい。
∽∽∽
ひと口に休みといっても、わたしにとっては2種類に分類される。
ONの休みと、OFFの休み。
ONの休みは、夫含め誰かと過ごす休みだ。
夫とどこかに出かける、家族とどこかに出かける、どこかで誰かと会う休みをいう。
一方OFFの休みは、誰にも会わずひとりで好きなことをして過ごす休みだ。
家でダラダラするのもOFFの休みのひとつだが、どちらかというと「今日は休みます」と固く心に決め、メールやチャットを開かず、隣町まで映画を観に行ったり、ライブに出かけていったりする休みだ。
いちばんの理想形はひとり旅である。
寄せては返す波の音をBGMに本を読む、ハイキングコースを歩いてみる、寺社仏閣や美術館を訪れるなど、体の欲求に従順に行動する。
1日でもありがたいと思わねばならないとわかっていても、1日じゃ足りないのよなあ。
小説ではよくある設定なのだけれど、
だいたい勝手気ままな旅をする主人公というのは恋に敗れたり仕事をクビになったり家族を失ったり、なんらか一大事が起こって今までの日常を一時的にでも失った状態であるケースが多い。
そんな大きな喪失はできれば起きてほしくないし、でも、そうでもしないと自分だけのために数日、1週間はなかなか休めない。しかもひとりで。
うちの母親はたった1日でも外出するとなると、夕方あたりには「家のことが心配だ」とそわそわしはじめて「ちょっとあんたお父さんに連絡して」などとのたまいはじめるが、わたしからすれば信じられない。
なんのために「ひとり」で出かけているのだ。
ひとりになりたいから、ひとりの時間を満喫したいからなのに、誰かとぴっぴこぴっぴこ連絡など雑音どころか騒音以外の何物でもないと感じてしまう。
Google Map様々だから渋々スマホを手にしているけれど、本当ならスマホの電源も落としたいぐらいだ。
1週間は無理でも、2、3日ぐらいはそういうOFFを今年中に1回とりたい気持ちが、休みのないお盆にふつふつとわきあがってきている。
今夜はせめて、YouTubeで「波の音」の動画をBGMに本でも読もう。
今日も読んでくれてありがとうございます。
あなたがOFFをとったら、なにをして過ごしたいですか?
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