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ひたむきでしたたかな、終わりとはじまりの季節

日本には四季がある。
あなたは4つのなかでどの季節が好きですか?嫌いですか?

「好きな季節 ランキング」で検索すると
どのサイトでも春・秋のどちらかがトップ。
3番手に夏。
最下位は冬だ。しかも冬好きは1割以下という不人気ぶり。

逆に「嫌いな季節 ランキング」で検索すれば
冬の嫌われっぷりはダントツである。


花粉症持ちの人は春が憂うつだろうし、暑さでバテやすい人やあせもができやすい人にとっては、今年の夏は拷問のようだっただろう。
花粉症の人も暑さが嫌いな人もとっても多いはずなのに、そんな春と夏を抑える冬の悪役っぷりといったら…。


寒がり冷え性でつま先や手がいつも冷たい
しもやけ・ひび・あかぎれがつらい
乾燥で肌やノドがガサガサして不快
風邪を引きやすい
寒くて起きられない、出かける気になれない
雪かきが面倒くさい
雪や凍結で運転や通勤が大変
…わたしもだいたい当てはまる。


それでもわたしは冬がいちばん好きだ。


イルミネーションで華やかな街路樹も、12月26日になればすっ裸。
骨だけになったような、か細い枯れ木がいっそうさみしく見える。

木々が落とした葉はどこへいくのか。
腐敗し、虫や微生物に分解されて土の養分となる。
動物たちは土にもぐり、冬眠・休眠する。

植物も動物も、冬はじっと、ぐっと、エネルギーをたくわえる季節だ。
「花の祭り」ともいえる、春に向けて。

そう考えると、冬は地味だがものすごく力強い。
静かでしたたかな生命力を感じる。

春といえば桜だが、桜が咲くのだって冬をきちんと越してきているからだ。
「きれいだね」と、咲いた花を人は愛でるが、わたしは誰も目を向けない、冬のあいだのひたむきさに目を向けてあげたい。
「ああ、冬のあいだよくがんばってきたね」と。

「あなたのがんばりは、きっと誰かが見てくれているよ」というのはとても勇気づけられるひと言であるが、冬ってまさに「地味ながんばり」の季節なのだ。


それに冬は年が変わる季節である。
1月から11月までをどれだけガサツに過ごしたとしても、「2023年という風呂敷をきちんとたたんでいこう」と最後だけはていねいに過ごそうと意識する。
「終わりよければすべてよし」で、それなりに(大)掃除ができて、いつ買い替えたら良いのか判断に困るバスタオルやパンツなどを新調できるとやっぱり気持ちがいい。
糊のきいたワイシャツのように、パリッと清々しい気持ちになるのだ。

仕事や、日常生活や、人間関係や、ひいては人生の終わりはいつやってくるかわからない。
けれども1年の終わりは明確にやってくる。
なんでもかんでも中途半端に投げ出しがちな性格だからこそ、意識できる「終わり」を大切にしたい。
それをさせてくれるのが、ほかでもない冬である。


繰り返すがわたしも寒いのは嫌いだし、もれなく朝はふとんから出られないし、出かけるのも気合いが必要だ。ウィンタースポーツも好きでない。
でもなぜか、比較的前向きな気分でいられるのだ。冬は。

「終わり」を意識して、風呂敷をていねいにたたんでいく冬。
粉雪のように気持ちはふわりと軽く、でもしたたかに、ひたむきに、来たる華やかな季節に向けてじっとエネルギーをたくわえる冬。
カロリーのたくわえすぎには注意だが、大切に過ごしたくなる愛すべき季節ではないだろうか。



今日も読んでくれてありがとうございます。
あなたは今年の冬、どんなふうに過ごしますか?

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