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やらかしたけど落ち込んでいる暇はない

連休でもない金曜日「だから」なのか、金曜日「なのに」というほうが適切なのか、ホテルはとても空いているようだ。

フロアのなかでもエレベーターホールに近い、比較的人がよく通りそうな位置にある部屋だが、物音ひとつ聞こえてこない。

静寂のなかスマホで音を絞ってラジオを聴きながら、自宅で塗る時間のなかったマニキュアを塗る。
できるだけ指の腹を使うようにして缶酎ハイをちびちび口に含み、マニキュアが乾くのを待つあいだに小説を読み進める。

…眠れない。
小説はたしかにおもしろい。でも時間を忘れて眠れなくなるほどではない。
とうにマニキュアも乾き、酎ハイも空き缶になり、照明も落としている。

本も目も閉じてみるが、今度はやけに大きい自分の鼓動が際立ってしまう。

刻一刻と睡眠時間は減っていく。
焦りと眠気が反比例の関係にあるのがわかる。
…疲れているはずなのに。
いや実際疲れを実感していたのに。

早起きが苦手なわたしにとって早起きのプレッシャーはすさまじく、こうなることは薄々予測していた。

なにをしても眠れる気配のなさに耐えかねて、noteを開いてここまで書いた。

∽∽∽

数時間、浅くだが一応は眠れたようだ。昨日の静寂とは打って変わってあっちこっちからドタン!バタン!と音がする。
むしろアラームよりも外の音で起こされたような気がする。わたしの貴重な睡眠時間を…。

慣れないスーツに袖を通し、ひさしぶりにメイクと髪のセットをおこない、忘れ物がないか入念に確認し、ホテルを後にする。

駅に着くとちょうどいいタイミングで来た電車に乗り、胸を撫で下ろす。
よかった。あと1回の乗り換えさえクリアすれば無事式場に着く。

いやしかし、電車のアナウンスに感じる違和感。
土地勘がないから自信はない。しかし乗り換え検索でみた駅名と一致していない気がする。

再度乗り換え検索画面を開く。
…乗る電車、完全に間違えた…

あわてて再検索する。
集合時刻に完全に間に合わない。

終わった。ついにやってしまった。
式場に連絡し、遅刻する旨を伝える。
すみません、本当にすみません。

間に合わないと確定した以上、どんなに焦っても無駄だ。
今の自分にできることは、これ以上電車を間違えず、遅刻を最小限に食い止めること。

そして、まだ朝だというのにゆうに30℃を超えていると思われるこの暑さのなかで、熱中症にかからず無事に1日を終えること。
最初の駅のホームに着いたときから、汗が止まらない。体中の毛穴から汗が吹き出ている。
きっとセットしてきた髪も、汗でくるんくるんになっているだろう。
今日、今の段階で唯一自分を褒められるとしたら、ペットボトルのお茶とOS-1を持ってきたことだ。
もはや500mlを1本飲み終えようとしている。

無事ホテルに帰るまで気は抜けない。
今は落ち込んでいる暇も自分を責めている暇もない。

とにかく最後までがんばれ、わたし。


今日も読んでくれてありがとうございます。
あなたが最近やらかしたミスはなんですか?

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