読書記録:VC系


1.ベンチャーキャピタル全史(トム・ニコラス)

ロングテールとヒットのポートフォリオで成り立つVCのビジネスモデルの成り立ちを地政学の観点で知ることができます
そして、“誰がやるのか”は昔から不変の重要な観点

<Point>
・VCは1946年から始まった産業であり、イノベーションによって生産性の上昇と経済成長を牽引してきた
・19世紀後半の捕鯨ビジネスからリスクへの慣れという文化が生まれたことがVC産業の土台となっている
・捕鯨ビジネスにおいても、有能な船長を見極めることが投資の成功の要因であり、そのための人的ネットワークが重要であった
・経済が拡大するとともに金融の序列ができ、富豪たちのインフォーマルなネットワークがアーリーステージのスタートアップにとって重要な資金調達源となっていった


2.VCの教科書(スコット・ポール)

VCとスタートアップの関係性における着眼点を事例で学ぶことができます

<Point>
・アンドリーセン·ホロウィッツを筆頭に成功しているVCは、5〜10年にわたって投資先の成長のために何でもやり、差別化を図る
・1974年以降にアメリカでIPOを果たした企業の42%はVCの支援を受けていた
・スタートアップの成長によって雇用が生まれる
・VCは何度も打席に立ち、投資する機会が数多くあることに対し、起業家は数回しか打席に入れないからこそサポートの価値が重要
・2000年代初頭に会社設立に必要な資本金が以前よりも少額で済むようになったこと、Yコンビネータを筆頭としたインキュベーターの台頭によって、急激にエコシステムが成長した
・アンドリーセン·ホロウイッツでは、ストーリーテリングのスキルを重要な指標と見なしている
・同じ領域には投資をできないため、有望なチームに投資をしなければ、同じ領域の有望なチームに投資する機会損失となる
・べンチマーク·キャピタル「平凡なチームでも巨大な市場にいれば企業は成功できるが、素晴らしいチームでも貧弱な市場にいては必ず失敗する。」


3.逆説のスタートアップ(馬田隆明)

短期間で急速に成長するスタートアップならではの観点を体系的に学ぶことができます

<Point>
・世界の不確実性が高まっている今だからこそ、逆にその不確実性を有効に利用して、優れたスタートアップが輩出できる可能性は高まっている
・優れたアイデアは一見そうには見えない。他人から見たときに不合理なアイデアを選び取る方が合理的な選択になる。しかし、悪いように見えて実はよいアイデアは希少であることが事実
・難しい課題の方が、周囲からの支援が受けやすく、優秀な人の採用につながり、競合がいないためチャンスとなる
・面倒な仕事は誰もがやりたがらないため、大きな課題と市場が手付かずで残っている場合がある
・アイデアや製品はシンプルでなければ人に伝わらない。また既存のカテゴリーにはまらない説明しにくいことに注意
・スタートアップの成功は基本的には外れ値であり異常値
・戦略を考える上では独占と素早さが重要であり、独占のためにはブランドが有効
・あえてスケールしない時期を作りケイパビリティを高める
・チームの日々の判断や行動の基準となるメトリクスをつくる
・スタートアップが最も気にするベきなのはモメンタムの維持
・運をコントロールできる部分を把握する


4. Yコンビネーター シリコンバレー最強のスタートアップ養成スクール(ランダル・ストロス)

シードアクセラレータの名門が大事にしてきた思想の一端を知ることができ、コンセプトの重要性が学びになる

<Point>
・失敗を受け入れる余裕があるかで挑戦できることは変わる
・事細かな情報を知るために対面コミュニケーションの重要度は高い
・相互作用を発揮できる集積地にいるかで当たり前の基準が異なり、歩み方の差になる
・創業者との相性を踏まえた純然たる能力主義に基づく採用がスタートアップが大企業に勝るポイント
・アイデアを思いついたら最小限動くモデルをできるだけ早く作る
・数字で測れるものを作る
・周囲の信頼を得られている人かを見極める


5.シリコンバレーのVC=ベンチャーキャピタリストは何を見ているのか(山本康生)


シリコンバレーなどスタートアップエコシステムで良質な情報やネットワークを得ていくためには、地域特性を理解した工夫が重要だと気付きになります

<Point>
・シリコンバレーなど地域内に流通しない情報がある
・良質な口コミが交わされるコミュニティに入れるか
・オセロの四隅でレガシーな産業のソフトウェア優位が加速していく
・10年後に使われているサービスを想像する
・人と関係性を築く上ではお互いのメリットを等価にすることがマナー
・虎の威を借ることなく自分を差別化する

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