#35 男子名マスターになろう。
最近、とても久しぶりに体調を崩した。
小学生の頃なんかはわりとよく熱を出していた気がするのだが、ここ数年全然そういうことがなかったので、ほんとうに久々だった。
きつかったけれど、インフルエンザでもなんでもなかったし、幸いかつ悲しいことに暇で、仕事に穴をあけるようなこともなく済んだ。
まだまだ寒い時期は続くので体調には気をつけましょう、という定型文で、本題に入る。
昨年末のnote(#33)で、置き字を用いた男子名について調査した記事を書いた。
今回はその女子名バージョンを書く予定だったのだが、ちょっとその作業に飽きてしまった。
そのため置き字の話は一旦置いておいて、今日は違うことを書きたいと思う。
前回の記事で、箱根駅伝の選手の名前について調べた際に、使われている漢字をランキング化したところ、2022年に甲子園球児の名前を調査したときのランキングと全く同じ結果になった。
箱根駅伝の選手は2001年〜2004年度生まれ、
甲子園の選手は2004年〜2006年度生まれ。
使用されている漢字の人気ランキングは、上から順に「太」→「大」→「翔」→「斗」。
多少年代などにズレがあるとはいえ、今の20歳前後の世代における男子名の人気の漢字が浮かび上がってきたことになり、もっとデータをとりたいと思った。
ということで今回、新たに名前を集めたので、それをもとにいろいろと調査をしていきたい。
地域などの偏りがなく、かつ人数が多いということで、調査対象は全国高校総体。
2001年〜2003年度生まれは『第72回全国高等学校陸上競技対校選手権大会』(2019年)、
2004年〜2006年度生まれは『第75回全国高等学校陸上競技対校選手権大会』(2022年)の
スタートリストから男子名を収集した。
その結果、01〜03年度は1752件、04〜06年度は1756件の名前データが集まった。
ではさっそく、ランキングを見ていこう。
なおこれ以降、01〜03年度をグループ「A」、04〜06年度をグループ「B」として記述する。
▼使われている漢字トップ10
📍上位の漢字
Bのトップ4は、箱根駅伝や甲子園と全く同じランキングになった。甲子園の調査とは、第5位まで一致している。
Aは少し違った結果になったが、トップ10のうち8文字がBと共通しており、この世代に人気の漢字が明確になったと言えるだろう。
全体的には、「○太」や「○斗」のように、名前の最後に止め字として多く使われる漢字がランクインする傾向にある。
📍「太」と「大」
グループA・Bともに1位と2位で、件数はどちらも3桁。他を寄せ付けない、圧倒的な人気が見てとれる。
特にこのふたつの漢字は女の子にはほとんど使われない、男の子イメージの強い漢字なので、これは男子名特有の結果だろう。
例としては、康太(こうた)/健太郎(けんたろう)/太陽(たいよう)/大輝(だいき)/雄大(ゆうだい)など。
📍「人」と「斗」
「と」で終わる響きの名前は男子名で高い人気を誇り、「人」と「斗」はそこで使われる代表的な漢字と言える。
どちらもほとんどが「と」と読むかたちで使用されており、この世代においては「人」より「斗」の方が人気だということがわかる。
なお、「翔」も「と」と読ませてよく用いられる漢字だが、「しょう」や「かける」と読んで使用されることも多いため、ここでは比較しない。
▼人気の響きトップ10
📍上位の響き
漢字のランキングでは、A・Bにほぼ違いがなかったが、響きはいろいろと差があるようだ。
Bで2位の「そうた」は、Aではランクインすらしていない。また「はると」は、順位と件数ともに、AからBで大きく躍進している。
そういった中で「こうき」や「ゆうと」、「はやと」などの人気が高いことがわかる。
📍“ときたまご”論
最近の男子名は、「○○と」「○○き」「○○た」「○○ま」「○○ご」で終わる響きが人気であるという話。
このランキングを見てみると、“ときた”はあるものの、“まご”は上位にひとつもない。
日本語として存在する言葉なので止め字にはカウントできない「たくみ」や「そら」を除くと、ランキング上位はほぼ“ときた”で構成されていることがわかる。Bはなんと全て“ときた”だ。
先程の漢字ランキングに戻ってみると、「と」「き」「た」と読める漢字が確かにトップ10に入っている。
📍「ゆう」と「こう」
これらの響きで始まる名前が非常に多く見受けられた。使われる漢字はさまざまで、「ゆう」なら優/悠/裕/佑/雄/侑など、「こう」なら
航/康/洸/晃/幸/紘など。
選択肢が多いぶん偏りがないため、漢字のランキング上位にこれらの漢字は入っていない。
▼人気の漢字表記トップ10
📍上位について
同率ばかりで見づらくなってしまったが、ランキングはこのようになった。丸数字は読み方の人数の内訳である。
AとBを比較すると、被っているのは「翔太」「大輝」「大翔」「大和」「蓮」で、ランクインした名前の半分以上は一致していない。
しかしながら、使われている漢字や響きは全体的になんとなく似通っている。
漢字のランキングや響きのランキングと比べても、共通する部分が多い。
📍明治安田生命のランキングとの比較
せっかくなのでしてみよう。
今回、こちらのデータはA・B合わせて約3500件なので、明治安田生命のほうが調査数は多い。
うん、だいたい同じである。
細かい差はあれど、全体的な傾向はほぼ一致していると言えるだろう。
こちらのランキングにあって明治安田生命にないのは、「智也」「隼人」「健斗」「亮太」。
逆にこちらにないのは「駿」や「太陽」、「颯」などだが、どれもトップ10にぎりぎり届かなかっただけで、確実に人気のあった名前だ。
明治安田生命と結果が揃ったことで、ますますこの世代の名前の流行が明確になった。
さて。
私は2004年生まれなので、今回の調査対象はちょうど同世代ということになる。
甲子園、箱根駅伝、高校総体と調べて、身近な世代の男子名について、よく知ることができた。
今、改めて3つのランキングを見直してみて気付いたのだが、同級生にこれらの名前が多かったかと思い返すと、意外と全然そんなことはない。
「翔太」とかすごく多いけれど、同級生にいたかなあ。いなかった気がする。「大輝」や「蓮」も、実際に会ったことはないような。
これは不思議だ。こういった名前が世の中に多く存在することは事実なのに。
でも「ゆうき」や「けんと」、「はると」なんかは確かにいた。響きのランキングが、個人的には経験にいちばん近いように思う。
とても面白い結果になったので、これはぜひ女子名もやりたい。しかしその前に置き字ネームを処理しなければ。
甲子園にしても箱根駅伝にしても、テレビで大々的にやってくれて情報がたくさん出てくるようなものは男子ばかりで、これまで女子名についてきちんと研究したことがない。
高校総体なら、男子とほぼ同じ数だけ女子のデータもとることができるので、また近いうちにその調査もしてみよう。
あとは、違う世代でやるのも楽しそうだ。
もっと幼い子どもたちの世代を調べれば、きっと人気に変化がでてくるはずだ。
やりたいことはたくさんあるので、意味のあることではないかもしれないが、自己満足で今後もいろいろ調べていけたらいい。
次に何を書くか先に宣言してしまうと変更するときに厄介なので、あんまり言わないでおく。
それでは、また次回。
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