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#1 私は“名前”を愛してやまない。

私は名前が大好きだ。
自分の名前のことではない。

“人の名前”というものが、大好きなのである。


人は誰しも、名前というものを持っている。

それは出生時に人(主には親)から授けられ、
自分で決めることのできない、それでいて一生背負っていかねばならないものである。
(後年、さまざまな理由により改名する人もいる。)

私はそんな“名前”に、非常に興味を持っている。


なぜ“名前”が好きなのか

遡ってみるとその原点は幼い頃の遊びにある。


私は小さい頃から絵を描くのが好きだった。
女の子の絵をよく描いていた。

そこから派生して、女の子の家族、女の子のいとこ、女の子の友達、友達の家族、女の子の通う学校の先生、などなど……。
とにかくたくさん架空の人の絵を描いていた。

そして、そのひとりひとりに、名前をつけていた。


名前をつける、という行為に拘りをもっていた気がする。
「この子は○○○○ちゃん」「この子は××××くん」と、フルネームを考えてはひとり満足していた。
そういうところは今でも全く変わっておらず、
家にある人形やぬいぐるみに名前をつけることが大好きである。

小学校低学年くらいまでは、こんなふうにあくまで架空の名前をつけて楽しむことを主としていたが、
だんだん成長していくにつれて、
現実の世界の名前にも興味を持つようになった。


名前収集を始めた

テレビや新聞、ネットなどを見ていると、
いろいろな名前に出会うことができる。


中学生の頃、初めに食いついたのは苗字。
珍しい名前を見つけては、ネットで調べてスマホにメモ。
出会った苗字をたくさん集めて、眺めて満足する。

苗字収集はもう3年やっているので、
数えきれないほど膨大な数の苗字を集めることができている。


苗字と並行して下の名前にも興味を持ち、
テレビやネットで読みにくかったり珍しかったりする名前を見つけると、私はそれもスマホにメモするようになった。
その収集も2年半は確実にやっていると思う。

さて現在の私は、“苗字”も“名前”も好きではあるが
特に“下の名前”の方にフォーカスを当てている。


それはなぜか。

ずばり、“名前”の奥深さや幅広さにときめいたからである。


私は虜になった

現在、名前に使える漢字は2999字。
そこに各漢字の読み、そして平仮名と片仮名を組み合わせると
膨大な数の名前をつくることができる。


また漢字には、
日常的によく使われる音訓の読み以外にも
“名乗り”や“表外音訓”といった様々な読み方がある。

名乗りとは、名付けの際のみに使用できる漢字の読みのこと。
漢和辞典には【名乗り】【名前】【人名訓】などの項目で載っている。
例えば「光」という漢字は、音読み「コウ」、訓読み「ひかり」「ひか(る)」だが、名乗りでは「みつ」と読む。

表外音訓とは、常用漢字表に記載されていない読みのこと。
新聞や公文書などでは使われないため、あまり馴染みがない読みである。
例えば「路」という漢字は、音読み「ロ」、訓読み「じ」だが、表外訓では「みち」と読む。


そして、戸籍には読み方が記載されない。
漢字をなんと読もうと個人の自由なのだ。

名前は出生届を出すことで戸籍と住民基本台帳に記載される。
ほとんどの自治体の住民基本台帳にはふりがな付きで名前が記載されるが、ふりがなの扱いは法律の定めがないため、各自治体の判断に任されている。
つまり、法律上、届け出た名前は、文字については戸籍に記載されるがそれをどう読むかは自由であり、漢字に対してどんな読み方をしても構わない。

例えば「桜」と名付けられた子どもがいたとする。
戸籍には「桜」という文字で名付けられた子どもとして記載されるだけであり、それを「サクラ」と呼ぼうが「チェリー」と呼ぼうが、国としてはどちらでもいいのである。

もし仮に「桜(チェリー)」と名付けられた子どもが成長して改名したいと考えたとき、
「桜」という文字そのものを変える場合は家庭裁判所に改名申請をして許可を得る必要があるが、
文字はそのまま、読み方だけを例えば「サクラ」に変更したい場合には、自治体にその旨を届け出れば、住民基本台帳に記載されていた「チェリー」のふりがなを「サクラ」に変えることができ、その子の名前は「桜(サクラ)」になる。


本来、音訓や名乗りの中から読み方を決めるはずなのだが、もともとの漢字にない自由な読み方をするという名前の付け方が増えている。
その善し悪しはさておき、それによって名付けの可能性は非常に広がっている。

近年、パッと読むことのできないような名前も多くあり、そういうものは“キラキラネーム”と呼ばれる。
私の同級生にも、“キラキラネーム”に分類されるであろう名前を持つ人が少なくない。



現代の日本において、名付けとは

2999字の漢字、平仮名、片仮名の中から選び抜き、
幾通りもの読み方の中から選び抜き、
それら幾通りもの組み合わせの中から選び抜く


選択肢と可能性に溢れたとんでもない作業なのである。


それだけの選択肢があれば、
さまざまな名前ができあがる。

毎年の名前ランキングで上位にくるものもあれば、
人生で同じ名前の人に出会うことはないというような、珍しいものも多くある。

つまり日本の名前には、
世界に類を見ないほど多くの種類があるということになる。

私はそんな“日本人の名前”が持つ奥深さや幅広さの虜なのだ。


その数50,000件以上

その趣味が高じて私が始めたのが、
「最近生まれた子どもの名前を集めて調べてみる」ということだ。


全国の市町村のホームページに載っている広報の中にある、生まれた子どもの名前を紹介する戸籍のコーナーや子どもの写真と名前を掲載する投稿コーナーなどから、
47都道府県全ての市町村のものを調べ、集めた。

また産婦人科のホームページや、
テレビ番組の赤ちゃんを紹介するコーナーなど
さまざまなところから名前を収集した。

(概ね2019年度生まれだが、
 2018年末〜2020年春生まれまで含む。)

1年ほども収集作業を続けると、
集めた名前の数は50,000件を超えた。


分類して見えてきたもの

私はその50,000件以上の名前を、細かく分類してみた。

漢字の読み方などを細かく分析していくと、
45種類ほどに分類できることがわかった。


そこで、趣味がエスカレートしてできた、
私が考える個人的な「名前の分類」というものを、
次回以降、ひとつずつ紹介していこうと思う。



もちろんこの分類は、さまざまな名付けや名前に関する書籍やネットに上げられている論文、辞典や辞書なども参考にして作った。

また、私も愛読している
キラキラネーム界隈で有名なネット掲示板のスレッド「子供の名前@あー勘違い・子供がカワイソ」の中で共有されている考え方なども取り入れている。


客観的な分類を心掛けたが、
主観的な部分もあるかもしれない。
また、まだまだ知識が不十分であることや
調べが足りていないための欠陥もあるだろう。

こうしてアウトプットすることで、
少しずつブラッシュアップしていきたいと考えている。

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