#36 私は“名前”が好きです。
17歳の誕生日からはじめたnoteが、今日、4年目を迎える。
当初はその辺の高校生として匿名でやっていたが、なんやかんやで人力舎所属の芸人という肩書きになってしまった。
まあでも、こそこそ密かにやっていることに変わりはない。
芸人らしいことにまるで触れないのはどうかと思うけれど、好き勝手に書ける場所だから、これからもすきなことを書いていきたい。
お笑いにしても名前にしても趣味にしても、たのしい、とか、すき、でいたいなあと思う。
できるだけ、それを軸に生きていけたら良い。
20歳になりました。
さて、20代(⁉︎)最初の記事になるのだが、全くそんなこと意識せずに書く内容の準備をしてしまったため、通常営業でいきたい。
前回の記事で、全国高校総体のスタートリストから2001〜2006年度生まれの男子名を合わせて約3500件収集し、その流行りや傾向について調査を行った。
それがとても面白かったので、今回はその女子名バージョンをやっていこうと思う。
もととなるデータについて、
2001年〜2003年度生まれは『第72回全国高等学校陸上競技対校選手権大会』(2019年)、
2004年〜2006年度生まれは『第75回全国高等学校陸上競技対校選手権大会』(2022年)。
こちらから、01〜03年度は1504件、04〜06年度は1494件の名前を集めることができた。
ランキングをいくつか作成したので、さっそくひとつひとつ見ていきたい。
なおこれ以降、01〜03年度をグループ「A」、04〜06年度をグループ「B」として記述する。
▼使われている漢字トップ10
📍上位の漢字
なんと、A・B両グループのトップ3が完全に一致する結果となった。
女子名についてこのような調査をするのは初めてなのだが、この年代の名前の人気がほとんど明らかになったと言っていいだろう。
また、Aの「里」、Bの「希」以外はすべて、トップ10に入った漢字が共通している。
全体的には女の子らしいというか、男子名に使われることが少ないようなイメージの漢字が多くランクインしている印象だ。
特に「美」は、どちらも3桁超えで、圧倒的な支持を集めている。
📍「菜」と「奈」
「○菜」や「○奈」というかたちの止め字として人気が高いうえ、「奈々」や「菜月」など頭文字として使われることも多くある。
どちらがより人気なのか、今回のランキングを見ると総合的な件数では「菜」に軍配が上がった。
「菜」は菜の花や野菜など、誰にでもわかりやすい意味を持つのに対し、「奈」はこれといって名前向きの意味やはっきりとしたイメージがあるわけではない。
名付けには当たり前に使われる漢字だが、そう考えると、同等の人気を獲得しているのがすこし不思議な感じもする。
📍「子」のつく名前
昭和時代を席巻した「子」で終わる名前。
明治安田生命が発表している年代別の名前ランキングを見ると、1912年〜1982年の70年間で、「○子」というかたちの名前はなんと62回も1位に輝いている。
昭和の終わりから徐々に勢いを失ってきたものの、グループAでは4位、Bでは8位にランクインしており、2000年代初めにはまだまだ安定的な人気があったことがわかる。
ちなみに、今回の調査における「子」で終わる名前の人気トップ5は、以下のとおりである。
莉子 (りこ/13件) 桃子(ももこ/10件)
理子 (りこ/9件) 真子(まこ/6件)
菜々子(ななこ/4件)
▼人気の響きトップ10
📍上位の響き
同率が多くなっていることからもわかるように、特定の響きに人気が集中するようなかたちではなく、件数も分散されている。
AとBを比べてみると、先ほどの漢字のランキングとは異なり、ランクインした名前やその順位にかなり違いが見られる。
Bの1位「なな」と2位「ななみ」は、Aではトップ10にすら入っていない。Aの2位「ゆうか」も、Bのランキングには名前がない。
一方で、「みさき」や「ゆい」などはこの6年間人気を維持していることがわかる。
📍3音ネームと2音ネーム
「さくらこ」や「ひまわり」など例外はあるが、女子名はその大半が3音か2音で構成される。
今回のトップ10から、重複したものを除いて両グループを合計すると、3音の響きと2音の響きともに9件ずつとなった。
もちろん全体的なパターンの数は3音ネームの方が多いが、人気の上位では、その部分の偏りはあまりないのかもしれない。
📍女子名における止め字
男子名の止め字に関しては、“ときたまご”論というものがある。何度か取り上げているが、「○○と」「○○き」「○○た」「○○ま」「○○ご」で終わる響きが人気という話だ。
女子名にも「○○こ」「○○な」「○○の」などさまざまな止め字パターンがあるが、今回のランキングで唯一、複数ランクインしているのが、「か」で終わる名前だ(「ほのか」は日本語として存在する言葉なので除く)。
漢字のランキングを振り返っても、「花」と「香」がA・Bともに入っており、その人気の高さがうかがえる。
女子名の止め字のいちばん人気は、「○○か」なのだろうか。更なる調査が必要になりそうだ。
▼人気の漢字表記トップ10
📍上位について
トップ10と言いながら同率が多いため、Aは実質14位までのランキングになってしまったが、結果はこのようになった。丸数字は読み方の人数の内訳である。
Bのトップ10のうち、7つがAと共通しており、全体的な印象は両グループともに似たような感じになっている。
特に「美咲」や「美月」が高い人気を誇っており、漢字のランキングで「美」が1位であったこととも矛盾しない。
📍明治安田生命のランキングとの比較
男子名でも行ったので、今回もしてみよう。
こちらのデータはA・B合わせて約3000件なので、明治安田生命のほうが調査数は多い。
やはり、大まかな傾向としてはだいたい同じと言えるだろう。
Bのランキングで8位に入っている「花音」が2004年の7位になっているところなど、かなりの一致度だ。
もちろんこちらのランキングにあって明治安田生命にないものや、その逆もいくつか見受けられるが、全体的には似通った結果となり、男子名の調査同様、この世代の名前の流行を明確にすることができた。
ここでもうひとつ、触れておきたいことがある。
明治安田生命のランキングで、複数回登場する「さくら」。
男子名では例が少なく、女子名には多く見られるひらがなネームである。
これは女子名特有とも言える文化で、今回の調査でもたくさんのひらがなネームが出てきた。
これまでの記事では漢字に着目することが多く、ひらがなネームに関してはほとんど触れる機会がなかった。傾向や人気もあまりわからない。
というわけでせっかくなので、そのランキングも作ってみようと思う。
▼ひらがなネームの人気ランキング
📍上位について
明治安田生命のランキングと一致するように、「さくら」が堂々の1位に輝いている。A・Bを合わせると17件で、飛び抜けた人気だ。
総合の2位は「ひなた」の11件だが、明治安田生命では2004年に10位となっており、「さくら」と「ひなた」がこの世代のひらがなネームのトップと言えるだろう。
📍ひらがなネームの傾向
漢字表記にしようと思えばいくらでも選択肢があるなかで、あえてひらがなを選ぶ理由。やわらかい印象になるから、などさまざまあるだろうが、傾向として、日本語として存在する言葉がひらがなで使われやすいような気がする。
「さくら」や「ひなた」をはじめ、「こころ」や「あかり」、「ひかり」や「みなみ」など、響きだけで意味がわかるものが多い印象だ。
漢字に意味を込めるように、言葉に意味を込める。シンプルでわかりやすく、誰もが読めて、視覚的なインパクトもある。
ひらがなの名前というのも、日本独自の、面白い名付け文化のひとつなのだ。
これにて、調査は終了。
男子名に関してはこれまでも何度か調べてきたが、女子名についてここまで詳しく調査を行ったのははじめてだった。
何故これまでやってこなかったのか、今回もとても楽しかったし、非常に興味深かった。
何十ページもあるスタートリストをひとつひとつ見て、すべての名前を(記録用のスクリーンショットをしながら)Excelに書き込んでいく作業は、かなりの時間を要するけれど。
そういえば、わたしは「結生(ゆい)」という名前なのだが、響きのランキングを見直すと、グループAの7位、Bでは4位に入っている。
中学校の同級生には「ゆい」がわたしを含め5人いたし、明治安田生命のランキングでもずっと上位に入り続けているので、人気の名前だという認識はもちろんあるのだけれど、今回もそれが裏付けられたかたちになった。
不思議なのは、「美咲/みさき」という名前。
漢字表記でも響きのランキングでも上位にランクインしているのだが、個人的には同世代で出会ったことがない。
人気なイメージはすごくあるけれど、実際にこの名前の人を直接見たことがないので、なんとなく幻みたいな感じがある。
前回と今回の記事を通して、自分と同世代である現在の20歳前後の人たちの名前に関して、流行りや傾向について知ることができた。
何度も引用した明治安田生命の名前ランキングに代表されるように、ちょっと検索すれば、手間をかけなくてもわかることかもしれない。
でも、自分で見つけにいって自分のなかでまとめてアウトプットすることが、とても楽しい。
次はぜひ、世代を変えた調査をしてみたい。
2019年度生まれの子どもの名前を5万7000件以上集めるというのを過去に行っているので、その中間の世代とか。
今の小学生くらいの情報はすっぽり抜けているような気がする。その辺りを調べてみようか。
ほんとうに何の意味があるのかわからない記事をずっと書き続けているが、書くたびに、自分は“名前”がほんとうにすきなんだなと思う。
別にどうなりたいとか何に繋げたいとかはないから、ただこのnoteが、わたしはこういうことをしています、というひとつの証拠になればいい。
20歳も変わらぬ日々を。
今後ともよろしくお願い致します。
それでは、また次回。
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