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2023/3/2 : 今日の英語: ギャング映画の飯テロシーン

TOEICの試験が終わって一息ついたので、久々に投稿する。

題材:ギャング映画『グッドフェローズ』のディナーシーン

今日は私が偶然見た飯テロ動画から英語を紹介する。

調べてみたらこの動画は『グッドフェローズ(原題: Goodfellas)』というギャング映画のワンシーン。刑務所の中にも関わらず、ギャング数人が悠々自適にディナーを作っている。
原語版は下の動画。

Netflixで本シーンを英語字幕付きで視聴してきたが、なかなか面白い英語を話していたのでまとめてみた。

① pasta course (ナレーションより)

シーンの序盤、ナレーション(映画の主人公)が刑務所時代のディナーについて語り出す。

We had a pasta course, and then we had meat or fish. パスタを食べてから肉か魚へ移る。

『パスタを食べてから肉か魚へ移る』(吹き替え訳)

pasta courseという表現はイタリアのコース料理から。
Googleで調べると以下の通り。

The primo: In Italy, pasta is a first course, or primo, served as an appetizer, not as the main event.

http://www.speakitalian.org/the-classic-italian-meal-structure.html

primo、正しくはprimo piatto(プリモ・ピアット)はイタリア語で「最初の料理」という意味で、前菜である。
パスタが提供されることが多いため、pasta courseと呼ばれることがあるそうだ。

つまり、動画のギャングたちは気取った言い方をしているのだ。

② liquify & system (ナレーションより)

ナレーション曰く、ギャングたちは役割分担でディナーを作っていた。
法廷侮辱罪(contempt)で収監されているポーリーは下ごしらえ(prep work)の係だ。

He used a razor and he used to slice it so thin that it used to liquify in a pan with just a little oil. It was a very good system.

『カミソリでニンニクを超薄切りにするのでちょっと炒めただけで溶けちまう。上手いやり方だ』(吹き替え訳)

映画ではliquifyとあるが、正しいスペルはliquefy。「液体にする」という意味で「溶ける」とも言う。
今回のように食べ物に対して使われることが多いが、しばしばガスに対して使われることもあり、天然ガスを超低温で冷却して生まれる液化天然ガスはliquefied natural gas(通称:LNG)と呼ばれる。

また、It was a very good systemもタメになる表現だ。
日本語の「システム」からは少し想像し難いが、systemには「(体系だった)やり方、方法」という意味を含んでいる。

③ aristocrat (ステーキ係のギャングより)

ポーリーがニンニクを切る一方、ビリーはトマトソース、ジョニーはステーキを担当した。

ジョニーがビリーに好みのステーキの焼き加減を聞き、ビリーが「ミディアムレア」と答える。それに対してジョニーの反応がこれ。

Medium rare? Hmm, an aristocrat.

『ミディアムレア?へ、気取り屋め。』(吹き替え訳)

aristocratの意味は「貴族」。ここでaristocratとこぼすジョニーのセンスも「気取り屋」と訳した訳者の方のセンスも、私は両方好きだ。
Youtubeのコメントを見るに、英語圏の人間にもこのセリフは刺さっているようだ。

吐き捨てる(throwaway)ような台詞だと思いつつ、死ぬ程面白い(funny as hell)と感じているらしい。

④ get pictures in one’s mind of (ナレーションより)

視聴者に話しかけるようにナレーションは語る。

You get pictures in your mind of all those old movies with rows and rows of guys behind bars.

『刑務所と言えば鉄格子の向こうに並ぶ囚人たちの姿を浮かぶだろう』(吹き替え訳)

pictureは動詞で「を(イメージとして)思い描く」という意味を含み、名詞になっても同様だ。get pictures in your mindで「思い浮かぶ」と表現している。
吹き替えでは省かれているが、ofに繋がる名詞句は「all those old movies(よく見る類の典型的な映画)」。thoseはときどき修飾語を付けて「典型的な」という意味になる。
そこから台詞はwithを使ってrows and rows of guys behind barsに繋げている。「囚人たち」は prisonersではなく、guys behind bars(鉄格子の後ろにいる者たち)で表現されている。また、rowsが使われているのは、基本的に刑務所の牢屋は横一列に並んでいるからだ。

⑤ I baseball-batted them & You left your doors open (ギャングの会話より)

最後はギャングたちの物騒な会話から二つ抜粋しよう。
ジョニーが武勇伝のように以下のことを語り出す。

I baseball-batted them two son of a bitches till you couldn’t recognize ‘em.

『男2人をぶん殴ったんだ。メチャクチャにな』(吹き替え訳)

吹き替えでは「ぶん殴った」と控えめな表現だが、実際は相手の人相が分からなくなるぐらい(till you couldn’t recognize ‘em)本物の野球バットで殴ったのだろう。
batだけでも動詞で「をバットで打つ」という意味になる。にも関わらず、ジョニーがわざわざbaseball-battedと語ったのは、自分が本物のバットを使ったことを強調したいがためだろうと私は考える。

続けて、ジョニーは自らの古き良き時代に思いを馳せ、こう語る。

People in the neighborhood had respect. People loved one another. You left your doors open.

『昔は隣人同士の付き合いってもんはもっと人情ってもんがあったもんだ』(吹き替え訳)

吹き替え訳は原文のrespectやらloveやらを引っくるめて「人情ってもんがあったもんだ」と訳したようだ。
私が気になった表現は「You left your doors open.」。「家のドアを開けっぱなしにしていた」という意味の英文だが、文脈から推測するに「誰でも受け入れていた」と言いたいのだろう。ただ、「ドアを開けっ放ししても大丈夫」と隣人同士の信頼関係を表した文としても読める。
ちなみに、類似表現のleave the door openは「まだ可能性(機会)を残している」という意味を持つ。

以上、今回はここまでである。

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