今日ときめいた言葉35ー「飛ぶことができるのは、心の底からそうしたいと願った者が、全力で挑戦したときだけだ」
(タイトル画は「カモメに飛ぶことを教えた猫」挿絵から転載)
これは、「カモメに飛ぶことを教えた猫」(作者ルイス・セプルベダ)という本の最後で、カモメに飛ぶことを教えた猫ゾルバが、そのカモメが飛んだ時に言った言葉だ。
カモメは17回も飛ぶことに失敗した後、最後には教会の塔から飛ぶことができた。それは感動的な瞬間だった。猫に育てられ、一度も地上を離れたことがないカモメが飛ぶのだから。この言葉に私は心が揺さぶられた。
「心の底からそうしたい」と願い、「全力で挑戦したとき」だけ、手にすることができる。
それはスティーブ・ジョブズが言ったように、
「自分のやりたいことを貫け」
「世界を変えられると考えたものだけが世界を変えられる」
「最も大事なのは、あなたの心と直感を信じる勇気を持つことだ」
そして、大谷選手がそう願い、全力で挑戦し続け、手にしたもの。
「27歳でWBCに出場してMVPを取る」
ゾルバという黒猫が、瀕死の母カモメとの約束を守って、彼女の産み落とした卵を温めて孵化させ、ひな鳥を大きくなるまで育て上げ、最後には飛び方を教えて独り立ちさせるという物語だ。
おとぎ話と言ってしまえば、それまでだが、黒猫のゾルバがカモメのフォルトゥナータに語った言葉が深く感動的である。これは、作者から我々人類へのメッセージだと思う。以下に全文を引用したい。味わって読んでください。
(フォルトゥナータは猿に言われた「猫たちはお前を食うために太らせているんだ」の言葉で悲しみに打ちのめされていた。その時ゾルバが言った言葉だ)
😻「きみはカモメだ。だがチンパンジーの言ったことで正しいのは、それだけだ。ぼくたちはみんなきみを愛している、フォルトゥナータ。たとえきみがカモメでも、いや、カモメだからこそ、愛しているんだよ。
😻これまできみが、自分を猫だと言うのを黙って聞いていたのは、きみがぼくたちのようになりたいと思ってくれることがうれしかったからだ。でもほんとうは猫じゃない。きみはぼくたちとは違っていて、だからこそぼくたちはきみを愛している。
😻ぼくたちは、きみのお母さんの力になることはできなかった。でもきみの力になることなら、できる。ぼくたちは、きみが卵から出てきてから、ずっときみのことを守ってきた。きみのことを猫にしようなどとは一度も考えずに。心の底から愛情をそそいできた。ぼくたちはきみを、カモメとして愛しているんだよ。そうしてきみのほうも、ぼくたちを愛してくれていると思っている。
😻ぼくたちはきみの友だちだ、家族だ、と思っている。そのうえきみはぼくたちに、誇らしい気持ちでいっぱいになるようなことをひとつ、教えてくれた。きみのおかげでぼくたちは、自分とは違っているものを認め、尊重し、愛することを、知ったんだ。
😻自分と似たものを認めたり愛したりすることは簡単だけれど、違っている者の場合は、とてもむずかしい。でもきみといっしょに過ごすうちに、僕たちには、それができるようになった。
😻いいかい、きみは、カモメだ。そして、カモメとしての運命をまっとうしなくてはならないんだ。だからきみは、飛ばなくてはならない。飛ぶことができたときこそ、フォルトゥナータ、きみはきっと、ほんとうに幸せになれる。そうしてぼくたちに対するきみの気持ちも、きみに対するぼくたちの気持ちも、今よりもっと強く、かけがえのないものになるはずだ。だってそれは、まったく異なるもの者どうしの愛だから」
人間の我々は、ゾルバのように、こんな心からの言葉が言えるだろうか?
自分とは違っているものを認め、尊重し、愛する、と。
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