マガジンのカバー画像

未来の私のために。あの時何に感動したのかを思い出すために。

296
今日ときめいた言葉。日常生活で出会った素敵な言葉、心動かされた言葉あるいは事柄について書いています。そんな言葉に出会った時、凡庸な日常が一瞬輝きます。ああ、私は言葉に生かされてい…
運営しているクリエイター

2022年12月の記事一覧

2022年の終わりに思うこと

「心にばつの悪さが生じると耳が赤らむ。そこから「恥」という字が出来たと、白川静さんの『常用字解』にある。「聞く力」の人の耳は、ほんの一瞬でも赤く染まっただろうか。そうでなければ、悲しすぎる。」 (2022年12月24日付 朝日新聞 「天声人語」から。岸田政権が、原発を「最大限活用する」とした新方針に対して) 私がnoteを始めたのは、2021年4月。「愛の不時着」について書かれた俵万智さんの記事「はにかみと思いやりのずらし話法〜リ・ジョンヒョクの言葉「愛の不時着」ノート⑥」

工学系女子を増やすために“女子枠“設定ーあなたは理工系を選択しますか?

(2022年12月20日付 朝日新聞 「工学部入試 広がる女子枠」より) 日本の政府や教育界そして産業界も、あまりに無節操だと思いませんか? ちょっと前まで、大学の医学部で女子受験生を不当に不合格にしていたのに、今度は工学部に女子枠を設けてまで工学系女子学生を増やそうとしている。 世界の水準を気にする日本政府にとって、OECD(経済協力機構)の示した数値はちょっと、いやかなり現状そして将来を憂うべきものだったに違いない。 日本における女性の大学入学者のうち理工系に進学

今日ときめいた言葉10ー「怒りを高潔さに変える。物を書く基本はそこにある」

(2022年12月21日付 朝日新聞 評論家 川本三郎氏 寄稿「思い出して生きること」より、心に響いた3つの言葉) ❶「かつて人間は怒りではなく、高潔さで苦難に立ち向かっていた」 (コルム・トビーンの小説「ノーラ・ウェブスター」からの言葉だそうだ) 「むろん『怒り』は人一倍ある。しかし、『怒り』を生のままで表現するのではなく『高潔さ』に変える。ものを書く基本はそこにあるのではないか」               *** ❷「今Ukraine(敢えて英語にしてあります)

シークレットサンタの思い出ークリスマスの過ごし方

3人娘が我が家にいた頃は、毎年このシークレットサンタのゲームをやっていた。 家族5人の名前を紙切れに書いて折りたたみ、ミックスして一人ずつそれを取る。 誰の名前が書いてあったかはお互いに秘密🫢 だから自分はその名前の人のシークレットサンタ㊙️になる。 シークレットサンタは、その名前の人を想像しながらその人のためにプレゼントを用意する。プレゼントには宛名をつけてクリスマスツリーの下に置いておく。 クリスマスの日、宛名が付けられたプレゼントをその人が開けて、誰が自分のシーク

汚水浸水、獣医師の注射、泥棒そして寄生バエ😱ー私だけかもしれないレア体験

私はタンザニアでボランティア活動をしておりました。ここでは思いもよらないことが始終起こります。停電や断水は日常のことでさほど気にもなりません。 ただ、汚水管が詰まり、我が家(5階建ての2階)から上の階の汚水が我が家の排水溝から吹き出し部屋という部屋を満たし、水深が30センチぐらいになった時はさすが絶望しました。私一人では打つ手もなく、その汚水に満たされた部屋のベッドの上で三日三晩過ごしました。 この時ばかりはタンザニア人の不道徳を呪いました。でも正義の味方が現れ汚水管を開

”セントルイス・ブルース”ー「生きていたいと言う希望」であり、「人間であることを自覚させてくれた」曲

                        (写真はセントルイスの風景) https://youtu.be/xte8OH2W9iM (YouTubeから転載) NHKドキュメンタリー「世紀を刻んだ歌2 セントルイス・ブルース」から この有名なジャズの名曲“セントルイス・ブルース”は、1914年にC.W.ハンディによって作られて以来一世紀以上にわたって世界中で愛され続けている。2002年時点で録音回数は1500回に及ぶという。 ハンディの長い放浪生活、貧困と差別の中

私たちはなぜ学ぶのか(9)ー「自転車が乗れた時のように、何かが身についた前と後では風景が変わる」その新しい世界を観る喜びのため

(2022年12月11日付 朝日新聞「知は力なり」慶応大学教授(物理学) 松浦壮氏の言葉から) 「学ぶ」ということは、 「ひとたび自転車に乗れてしまったら、自転車に乗れない自分を想像できないように、何かが本当の意味で身についた前と後では風景が変わってしまうということである」 松浦氏は、幼い頃父親から教えられた数字の不思議に触発され、数の世界への【眼】が開いたと言う。 ー父親の話というのは、2+4=6、6÷2=3、2と4の間の数字は3。「足して半分にするといつも真ん中の

「初恋」の歌を味わう

「初恋」と聞けば、島崎藤村のあの詩だろう。 まだ上げ初めし前髪の林檎のもとに見えし時 花ある君と思いけり だが「初恋」というタイトルの詩は、石川啄木にもある。私がときめいたのは、「一握の砂」に収められているこちらの「初恋」である。それも、この「初恋」に越谷達之助という人が曲をつけ、オペラ歌手が歌ったその作品にである。 砂山の砂に腹這ひ初恋のいたみを遠くおもひ出づる日 この詩を読んだだけでは、きっとその情感はここまで伝わらなかったと思う。この美しいメロディーとソプラノの

朝からエネルギー全開バージョンアップ編 この子、今2歳8ヶ月4日❣️

 #最近の一枚

今日ときめいた言葉9ー「日本人は日本語を実に粗末に扱ってきた」

「人間をある人間たらしめるのは、国家でもなく、血でもなく、その人間が使う言葉である。 日本人を日本人たらしめるのは、日本の国家でもなく、日本人の血でもなく、日本語なのである。それも、長い<書き言葉>の伝統をもった日本語なのである。 (「日本語が滅びるとき」ー英語の世紀の中で 水村美苗 著) それなのに我々日本人は、長い歴史を通して日本語を粗末に扱ってきたと水村氏は言う。1500年前は漢文(真名)に対する大和語(仮名)という下位に来る言語として、明治近代以降は西洋語に対す