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私の推薦図書③「統計学が最強の学問である」

2週間以上間が空いてしまいましたが、第三弾です。

3日坊主なんて言葉がありますが、シリーズも3回続けばそれなりに格好がつくかなと思っています。

今回ご紹介するのは「統計学が最強の学問である」です。

少し古いですが、2013年に出版された本です。

著者は生物統計学者で、現在は分析サービスを提供する株式会社データビークルの代表取締役をしている西内啓さんです。

この本は後に「実践編(2014年)」「ビジネス編(2016年)」「数学編(2017年)」という形でシリーズ化しており、シリーズ累計で48万部以上も出版されているようです。

で、この本が結果的にその第一弾になっているわけですが、他の本については私はまだ読んでいないので良し悪しはわかりません。

ただ、この1冊は間違いなく買いです。

内容としては、第一章で「なぜ統計学が最強の学問なのか?」について解説されており、ここが一番皆さんに読んでほしい部分です。

第二章以降で統計学の考え方が順をおって解説されており、初心者には少し理解するのが難しいかもしれませんが、第一章の部分だけでもお金を払う価値が十分にあると考えます。

なぜ、論理的に考えるのが得意な頭の良い人たちが間違えるのか

この本にヒントが隠されていると私は考えています。

いや、隠されてないな、ずばり書いてあるわ…。

情報のリテラシーを高めるためにも、ぜひとも多くの人に読んでもらいたいのですが、私は特に理系の学生や研究職の人にお勧めしたい。

というか、理系は絶対これを読め!

あと、政治家は皆これを読むべきです。

「統計学」という学問は数学を元にしているので、さぞかし理系の人が得意だろうと考えられがちですが、実をいうとそんなことはありません。

というのも、理系の研究分野の多くはいまいち統計学の恩恵を感じる機会が少ないのです。

特に化学系の分野ではあまり表に出てくることはありません。

私の知る限り、化学の分野では研究者ですら統計学がよくわかっていない人はかなり多い印象です。

これには理由があって、フラスコの中の化学反応のようなシンプルな系では、非常に再現性が高く結果が得られるため、「統計的に優位かどうか」なんて議論が必要ないのです。

そして理系の人は「論理的に説明がつくこと」が大好きです。

ほとんど例外なく「メカニズム」が大好きで、なんでもメカニズムで説明できることを好む傾向があるのですが、実はそこが落とし穴なのです。

生物の体の中の反応などの複雑な系では、直感では予測が難しいようなメカニズムが隠れていることが多々あります。

理屈の上では正しいように見えることが、実は全然まとはずれであったりすることが日常茶飯事にあります。

こうすればうまくいくはずだ、と予測して実験してみても、複雑な理由が重なり合って思い通りの結果が得られないことが多い。

有効成分だと思ってサプリメントにしてみても、全然効果がなかったり、むしろ逆効果だったりなんてことが普通に起こります。

そういうとき、因果関係を考える上で最も強力なツールが統計学です。

頭の良い人がじっくり考えて導き出した結論よりも、より真実に近いことを示してくれるわけです。

メカニズムが明らかになるよりも先に、統計的に証明されたエビデンスが解決策を示してくれます。

・・・というようなことが良くわかる本になっています。

前回紹介した「究極の食事」の中で、なぜ著者が「あえてエビデンスを示すこと」に終始し、細かいメカニズムの説明を避けたのか、これを読めばわかると思います。

これから先の時代はあらゆる分野でますます統計エビデンスファーストになっていくことが予想されるので、この本を読んで統計リテラシーを高めることをお勧めします。

以上です。

せっかくなのでアマゾンアソシエイトのリンクを貼っておきます。


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