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『オールドファッションカップケーキ』

友人にお薦めされて佐岸左岸さんの『オールドファッションカップケーキ』を読みました。
年齢を重ねて変化が怖くなっていくこと、だんだんそれを怖いと言えずに避けるよう生きてしまうこと。自分も同じ生き方をしていないかなとふと振り返ってしまいます。

寝て、起きて、仕事をする──それだけの毎日、
それだけを好きで選んでいる自分に最近少し憂鬱な39歳・野末。
ちょっと無愛想だけど信頼厚い部下29歳・外川は、
そんな野末が気になる。ひょんなことから、
女子で賑わうパンケーキのお店に2人で行くことに。
ここから、外川による野末のためのアンチエイジング大作戦が始まった。
休日まで野末のために時間を割く外川に「なぜ?」が募っていく野末だが…!?
(公式サイトより)

この作品の素敵なところは、愛らしい登場人物や心情の描き方など色々思い浮かぶけれど、読み終えて心に残ったのは何よりもコマ割りだった。
左右に分けて野末さんと外川さんを対比して配置したり、一ページを12コマに分けて2人が目にするテーブルの上のケーキや窓から見える外景を切り取ったり。

この本を読んでいると、とても当たり前だけれど、登場人物の外側にも世界があって、色々な物や人が動く世界の一角に登場人物たちが生きているのだということを感じさせられる。まるで映画を見るように、登場人物たちがいる世界、彼らが見る世界が切り取られていてとても楽しい。

そういえば野末さんのお家もとても素敵で、郊外にあるであろう庭付きの平屋。カーテンがないのが印象的で、そこに暮らす野末さんの心持ちを表しているのかしら、と思ったり。