【本の感想を言うと、多くの人が命拾いをする】書店で面白い本と出会う方法その3

昨日の記事では、リアル書店で面白い本と出会うための「本を適当に開いて、会話部分だけ拾い読みする」という方法を解説した。たくさんの方に見ていただけたようで、恐悦至極である。

本との出会いの質を上げる方法を連載してきたが、本日は3つめの

「ハガキを書き、たまには新刊も買う」

について述べさせていただく。

実はこれをすることで、自分好みの小説を出版社に出してもらえる可能性が大きくなるのだ。
にわかには信じられないだろうか?
以降は解説となっているので、読み進めてもらえれば、「ふーん、そんなこともあるかもしれない」と思ってもらえるはずだ。

【ストーリー風に解説・・・自分好みの小説を増やす裏技】

実は出版業界には、自分の好みの小説が出版される可能性を大きくするという裏技が存在するのだ。

経験したわけではないが、小説の出版が決定する場合は、以下のような2パターンが存在する。

1、出版社が作家に「うちで書いてください」と依頼する。
2、作家が企画書を出版社に見せ、「書かせてください」と依頼する。

1が売れっ子、2が少し苦労している作家であり、いまの世の中ではほぼ全ての小説が2のルートで出版される。1の場合は既に出版社として、作家の本を出版することに合意済のことが多い。
しかし2のルートでは、作家の担当編集者が企画を読み、「面白そうですね」と言った後に地獄の言葉が続く。それが

「企画会議にあげてみます」というものだ。

【出版社の企画会議とは?】

企画会議とは、次に出版する書籍について、決定権者を交えて行う会議のことだ。
ここで、さきほどの担当編集者が登場する。

「作家の○○さんから企画があがってきました。○○さんは作家歴15年、これまでの累計販売部数は10万部。前回の初版部数は6000部でした。この企画を本にすれば、来年の夏ごろに発売できます。初版部数は8000部を見込んでいます」

ここで問題になるのが「本当に売れるのか?見込みはあるのか?」ということだ。
出版社は慈善事業ではない。利益が出なければ関連会社の人間も含めて損をする。

この上司からの追及に対し、担当編集者は

「え~~と・・・無い・・・です」

これで○○さんの作家生命は絶たれてしまった。
もしかしたら担当編集者くんもクビになってしまったかもしれない。

【時を戻そう・・・どこで間違っていたか?】

さきほどは、○○さんの新刊が売れるという根拠がなく、決定権者を説得できなかったため、多くの人の将来が閉ざされる結果となった。
何か、読書好きな我々ができることはなかったのだろうか?

もちろんある。我々読書好きは、力を合わせれば、担当編集者くんや作家さんの命を繋ぎ止められる。
それが、出版社に感想を伝えるということなのだ。

私たちが日々ツイッターで、アマゾンで、ハガキで、読書後の感想を伝えていたとしよう。
その場合、企画会議でのやりとりは、以下のようになる。

「作家の○○さんから企画があがってきました。○○さんは作家歴15年、これまでの累計販売部数は10万部。前回の初版部数は6000部でした。この企画を本にすれば、来年の夏ごろに発売、初版部数は8000部を見込んでいます」

「なぜ前回が初版6000部なのに、新刊で増やすんだ。さらに減らした方が無難じゃないか。そもそも、6000部を割ってしまったら利益が出ない。作家の○○さんは、ここまでということで・・・」

「待ってください!これはツイッターの様子です。作家の○○さんはツイッターをやっていますが、最近フォロワーも、新刊告知のいいね数も上がってきているんです。過去作についてのツイートもあり、好意的な評価が多数見られます」

「それがどうした?所詮ツイッターなど無料ツールだ。多少ツイッターで注目されているといっても、金を出して新刊を買うような人たちではない」

「ではこれも見てください。アマゾンの○○さん著者ページのデータです。○○さんの小説は軒並み評価は高いのですが、初版部数が伴わないのがネックでした。しかし近頃は評価数も少しずつ増え、それでも評価が下がったということはありません。さらに書籍発売日の1週間以内に投稿された感想も多くなり、「次回作も買います」という声も多いです」

「そんなもの、能天気に信じた結果、返本の山になった事例などごまんとある。そこまでいうなら、○○さんの新刊がこれまでのものとは違うという確信があるんだろうな?」

「もちろんあります!今まではデータだけの話でしたが・・・これを見てください!読者からいただいた感想ハガキです!数自体は多くないですけど、それでもこれまでで最多です!ここまで注目度が上がってきている作家さんですし、次回の企画は、ハガキにも書いてある、またこういうストーリーの本が読みたいという期待に沿うものです!ぜひともこれで行かせてください!!」

「今時手書きのハガキが複数来るなど珍しいな。そうか・・・なら、来年の夏、いや春発売にしてもらおう。出来によっては初版9000部でもいい。担当編集者は従来通り君に頼む。頑張ってくれ」

とまぁ、見てきたように書いているが全部妄想である。しかし、大きくズレているわけではないという自信がある。
我々が媒体を問わず感想を述べれば、ある作家の作家生命が伸び、自分好みの作家が自分好みの小説を書いてくれる可能性がグンと大きくなるということがわかっていただけたと思う。

私たちが本の感想をツイッターで書いたりしたことは、確実に出版社や担当編集者の目に留まっている。漏れなく、100%である。
私はハガキが一番効くと思っているが、何でもいいからとにかく感想をネットに書く。それが、自分にとって好みの小説が出版される確率を上げる方法なのだ。ひいては、それが「書店で面白い本が増える=面白い本と出会う確率が増える方法」なのだ。

それと、さりげなく触れたが、書籍の初版部数は大抵の場合は「前作の初版部数」で決まるようなので、いつもは古本屋で本を買っていても、たまには新刊で本を買おうということだ。

これを読んでいただいている方にとっては既に常識だろうが、古本屋で本を買っても、作家にも出版社にもお金は入らない。
それは街の書店は出版社の委託販売という形式で経営しているからだが、もし需要があれば明日はこのあたりを解説させていただきたい。

3日分の記事を読んでいただいた貴方に、平に感謝申し上げます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?