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クラシックを現代に蘇らせる! 亞門さんからテクニックを盗みつつ、オペラ「蝶々夫人」のネタバレです!


#metooオペラ ? 「蝶々夫人」

インターン(以下略):「あえて台本だけ読んだら、『100円で15歳の日本女性を買う』だの、『家の契約は999年間』だの植民地的な差別満載で、時代性とはいえ驚愕でした」

亞門さん:「ドキュメントから小説に、それからNYやロンドンでヒットして芝居になり、それがオペラになるまで『蝶々夫人』という作品は、可哀想なヒロイン蝶々さんに涙したいばかりに、男性的視点からの耐え忍ぶ憧れの女性観が盛られ、カリカチュアされ、正直、いま上演するには危険過ぎる、まるで#metooオペラだ! 故パトリス・シェロー(映画監督/演出家)が、「亞門は『蝶々夫人』なんか演出しないよね」と言ったのを思い出すな」

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1995年「音楽の友」対談シリーズでパトリス・シェローと語る。誌面には載っていないが、「あんな差別的な『蝶々夫人』なんて絶対やらないよね?」と言われたことを亞門さんは思い出したようだ。ちなみにシェロー自身、モーツァルト演出も全く自分には向いてないと誌面で語っている。

「でも、結局それにどう演出で挑戦できるか、試したくなる俺がいたんだ。実は、今回、ドイツのドレスデン国立歌劇場(ゼンパーオーパー)より、新たな『蝶々夫人』をどうやるべきか、日本人の革新的演出家でという話で、俺にオファーが来た。というのも、欧米で『蝶々夫人』をやるのは、現在とても難しい状況らしく、アメリカ批判とか、狂人『蝶々夫人』とする演出も多く、レパートリーとして上演しづらいとのことだった。

だけど、前にも言ったように音楽や台本は一字一句変えられない。さあ、それをどう観客が納得するように見てもらえるかが、チャレンジだったんだ。

スケジュール的には、1年前に作品全体のコンセプトと、衣装とセットのコンセプトを、ドレスデンでプレゼンテーションするというものだったんだけど……悩んだな」

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ワルシャワの美術家・ボリスの家で、カーテンレールの位置を、ボード模型で確認しながら調整。

「大嫌いだった『蝶々夫人』をどう調理していったんですか?」

「まず、ポーランドのセットデザイナーの家で合宿して、数日間ブレインストーミング。そしたらウチの事務所の社長が、『ピンカートンと蝶々さんの間に生まれた”息子の目線”で見てみたら?』というアイディアを出してくれた。

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