2018年に読んだ本

年末年始が嫌いだ。
年の瀬はなんだか追われているような気持ちになって焦るし、動き回るわりには気持ちが塞ぐ。年が明けるとそれまでの憂鬱がうそのように晴れやかな気持ちで所信を改めちゃったりする。それがとても疲れる。
卒業や成人式もそうだった、みんなで示し合わせる区切りというものが基本的には苦手で、誕生日や記念日などの私的な区切りのほうがまだよい、それもまたあまり重要には思えないのだけど、というのも大切なのはただ日々だとずっと言い続けているうちに毎日がきちんきちんとあるということに喜びを感じ、そのきちんきちんが乱されることに大きく戸惑うようにできてきてしまった。
そうはいっても巻き込まれてしまうからこそ嫌いなわけで、いまもなんだかこの一年を振り返るようなことをしてしまうが僕はべつにいつだって振り返りがちだ。いつだか学生のころ友人に「そんなにいちいち立ち止まって懐かしい過去を振り返って点検していてはいつまで経っても前に進めないじゃないか」と言われてうるせえ俺の目の向いているほうが前だと返したものだけれど、いまも過去が現在や未来に対してつねに遅れているあるいは先んじているという感覚は僕は嘘くさい。過去も現在も未来も渾然一体となって濁流のように流れているそのただ中でわけがわからなくなるのが時間で、そうしたものをきれいに刈り込んでわかりやすい体裁に仕立て上げるような行いが苦手なのだ、たとえば経験を物語として語ること、年末にその年を振り返ること、元旦に未来を計画すること、それでも今年はどんな本を読んだっけなあというのはついつい記録してしまうのだからいいかげんなものだ。
今年はたくさん読んだ、読めた、嬉しかったし楽しかった。


【読了(通読)】
マイケル・ポーラン『人間は料理をする 空気と土』
栗原康『死してなお踊れ 一遍上人伝』
グレッグ・イーガン『ディアスポラ』
テクタイル『触楽入門 はじめて世界に触れるときのように』
光嶋裕介『建築という対話 僕はこうして家をつくる』
ウンベルト・マトゥラーナ/フランシスコ・バレーラ『知恵の樹 生きている世界はどのようにして生まれるのか 』
ウィリアム・ギブスン『ニューロマンサー』
ユクスキュル『生物から見た世界』
エンデ『はてしない物語』(再読)
小島信夫、保坂和志『小説修行』
東浩紀『ゲンロン0 観光客の哲学』
岡潔『春宵十話』
五十嵐大介『ディザインズ』1~3巻
東浩紀『存在論的、郵便的』
保坂和志『人生を感じる時間』
能町みね子『お家賃ですけど』
李珍景『無謀なるものたちの共同体』
三浦英之『五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後』
保坂和志『試行錯誤に漂う』
ポール・ホーケン『ビジネスを育てる』
レイモンド・マンゴー『就職しないで生きるには』
高野文子『ラッキー嬢ちゃんのあたらしい仕事』
細野晴臣/中矢俊一郎/川勝正幸『HOSONO百景』
魚川祐司『仏教思想のゼロポイント 「悟り」とは何か』
押井守/最上和子『身体のリアル』
水野祐『法のデザイン』
ハン・ガン『菜食主義者』
高根正昭『創造の方法学』
若林恵『さよなら未来』
斎藤環『オープンダイアローグとは何か』
いとうせいこう+星野概念『ラブという薬』
ティム・インゴルド『メイキング 人類学・考古学・芸術・建築』
アサダワタル『コミュニティ難民のススメ』
増村十七『バクちゃん』
マクルーハン+フィオーレ『メディアはマッサージである』
タバブックス『仕事文脈 vol.12 お金文脈』
マーク・フィッシャー『資本主義リアリズム』
坂口ふみ『〈個〉の誕生 キリスト教教理をつくった人びと』
坂口ふみ『信の構造 キリスト教の愛の教理とそのゆくえ』
長谷川町蔵×大和田俊之『文化系のためのヒップホップ入門』
岩井克人『会社はこれからどうなるのか』
内村鑑三『後世への最大遺物』
デイヴィッド・ケイリー編/イリイチ『生きる意味 「システム」「責任」「生命」への批判』
カルヴィン・トムキンズ『優雅な生活は最高の復讐である』
いとうせいこう『自己流園芸ベランダ派』
いとうせいこう『小説禁止令に賛同する』
フラナリー・オコナー『秘義と習俗』
ハン・ガン『ギリシア語の時間』
友田とん『『百年の孤独』を代わりに読む』
鈴木忠志/中村雄二郎『劇的言語 増補版』
渡辺ペコ『おふろどうぞ』
平尾アウリ『推しが武道館いってくれたら死ぬ』1〜4巻
ボラーニョ『野生の探偵たち』
外山滋比古『新エディターシップ』
藤子・F・不二雄『のび太の宇宙小戦争』
坂口恭平『モバイルハウス 三万円で家を作る』
坂口恭平『0円ハウス』
鷲田清一/山極寿一『都市と野生の思考』
ジェームズ・ワット『ビジネス・フォー・パンクス』
ティム・インゴルド『ラインズ 線の文化史』
渡辺拓也『飯場へ 暮らしと仕事を記録する』
保坂和志『ハレルヤ』
アタシ社『たたみかた 男らしさ女らしさ特集』
アタシ社『たたみかた 福島特集』
よしながふみ『あのひととここだけのおしゃべり』
石川雅之『惑わない惑星』1~3巻
岡田索雲『へうげもの』1~2巻
つくみず『少女終末旅行』5~6巻
岡田索雲『鬼死ね』1~4巻
絲山秋子『薄情』
金井美恵子『目白雑録5 小さいもの、大きいこと』
スケラッコ『盆の国』
雨宮まみ『まじめに生きるって損ですか?』
村上慧『家をせおって歩いた』
ラショウ/香山哲『すこし低い孤高』
雨宮まみ/岸政彦『愛と欲望の雑談』
はらだ有彩『日本のヤバい女の子』
阿佐ヶ谷姉妹『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』
原民喜『夏の花・心願の国』
香山哲『水銀柱』
ジョゼフ・チャプスキ『収容所のプルースト』
Spectator『新しい食堂』
佐藤ねじ『超ノート術』
豊田徹也『アンダーカレント』
東浩紀/大山顕『ショッピングモールから考える ユートピア・バックヤード・未来都市』
三浦雅士『考える身体』
玉村豊男『料理の四面体』
保坂和志『カンバセイション・ピース』
伊藤亜紗『どもる体』
柴崎友香『公園へ行かないか?火曜日に』
武井麻子『感情と看護 人とのかかわりを職業とすることの意味』
ベン・ラーナー『10:04』
テジュ・コール『オープン・シティ』
山本貴光『世界が変わるプログラム入門』
本田美和子/イヴ・ジネスト/ロゼット・マレスコッティ『ユマニチュード入門』
山岸俊男『日本の「安心」はなぜ、消えたのか』
ヘミングウェイ『移動祝祭日』
岡ノ谷一夫『「つながり」の進化生物学』
しりあがり寿『合本 真夜中の弥次さん喜多さん』
夏目漱石『草枕』
多和田葉子『百年の散歩』
松本大洋『ナンバー吾』
ミシマ社『ちゃぶ台 Vol.4「発酵×経済」号』
滝口悠生『茄子の輝き』
大江健三郎・清水徹編『渡辺一夫評論選 狂気について他二十二編』
川崎昌平『労働者のための漫画の描き方教室』
セネット『クラフツマン 作ることは考えることである』
長部日出雄『仏教と資本主義』
オカヤイヅミ『ものするひと』1〜2巻
香山哲『心のクウェート』
アタシ社『髪とアタシ 「考える髪」特集』
滝口悠生『高架線』
ファイヤーダンス失敗『デリケート』
ヘンリー・スコット・ホランド/高橋和枝『さよならのあとで』
横光利一『機械』
平川克美『21世紀の楕円幻想論 その日暮らしの哲学』
川上浩司『ごめんなさい、もしあなたがちょっとでも行き詰まりを感じているなら、不便をとり入れてみてはどうですか? ~不便益という発想』
宮沢章夫『時間のかかる読書』
三輪舎『本を贈る』
LLCインセクツ 『IN/SECTS vol.9 「いいお店のつくり方2」』
blkswn publishers『ブロックチェーン・ハンドブック2018 デジタル・アイデンティティ篇』
島田潤一郎『あしたから出版社』(再読)
宮田文久編『DISCO vol.2』
後藤正文『何度でもオールライトと歌え』
ミシマ社『ちゃぶ台 Vol.2「革命前々夜」号』
高野文子『黄色い本 ジャック・チボーという名の友人』
福尾匠『眼がスクリーンになるとき ゼロから読むドゥルーズ『シネマ』』
荒木優太『これからのエリック・ホッファーのために 在野研究者の生と心得』
中里仁美『善き門外漢 vol.3 「アウトサイダーの向上心」』
檀上遼『馬馬虎虎』
檀上遼+篠原幸宏『声はどこから』
YADOKARI『未来住まい方会議』
松田行正『デザインの作法 本は明るいおもちゃである』
糸井重里『インターネット的』
ジョン・ウィリアムズ『ストーナー』
千葉雅也『動きすぎてはいけない ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学』
ナカイフユキ『LONG WAY HOME』
見田宗介『現代社会はどこに向かうのか 高原の見晴らしを切り開くこと』
アンソニー・ドーア『すべての見えない光』
岸政彦『断片的なものの社会学』

【拾い読み】
Fabの本制作委員会『実践Fab・プロジェクトノート 3Dプリンターやレーザー加工機を使ったデジタルファブリケーションのアイデア40』
ドゥルーズ=ガタリ『千のプラトー』
ベイトソン『精神の生態学』
猪熊純・成瀬友梨編『シェア空間の設計手法』
レベッカ・ローク『Mobitecture 動く住まい図鑑』
加藤昌治『考具』
アドリアン・フルティガー編『図説 サインとシンボル』

【読みかけ】
プルースト『失われた時を求めて』
平出隆『ウィリアム・ブレイクのバット』
黒鳥社『blkswn paper 黒鸟雑志 NEXT GENERATION BANK』
辻本力編『生活考察 vol.06』
角張渉/木村俊介『衣・食・住・音 音楽仕事を続けて生きるには』
ヘラー=ローゼン『エコラリアス 言語の忘却について』
鹿子裕文『へろへろ 雑誌『よれよれ』と「宅老所よりあい」の人々』
阿久津隆『読書の日記』
ナタリー・サルトル=ラジュ『借りの哲学』
高橋裕行『コミュニケーションのデザイン史』
レヴィ=ストロース『野生の思考』
デイヴィッド・バーチ『ビットコインはチグリス川を漂う』
宮田文久編『DISCO vol.1』
双子のライオン堂『しししし2 特集「ドストエフスキー」』

【図書館で借りて途中でやめたり読まないままだったりしたもの】
グレッグ・イーガン『宇宙消失』
オラフ・ステープルドン『スターメイカー』
市川雅『ダンスの20世紀』
ノーバート・ウィーナー『サイバネティックス 動物と機械における制御と通信』
ペトロスキー『フォークの歯はなぜ四本になったか』
ダーウィン『種の起源』
モントゴメリー/ビクレー『土と内臓』
細野晴臣『映画を聴きましょう』
いとうせいこう/柳生真吾『プランツ・ウォーク 東京道草ガイド』
いとうせいこう/竹下大学『植物はヒトを操る 人と自然をとらえなおす』
いとうせいこう『ゴドーは待たれながら』
中島岳志『中島岳志的アジア対談』
ジグムント・バウマン『コミュニティ』
パク・ミンギュ『カステラ』
イリイチ『コンヴィヴィアリティのための道具』
大岡敏昭『三人の詩人たちと家』
坂口恭平『TOKYO0円ハウス0円生活』
坂口恭平『ゼロから始める都市型狩猟採集生活』
堀田善衛『路上の人』
ボルヘス『七つの夜』
後藤明生『後藤明生コレクション2 前期』
ハンナ・アレント『人間の条件』
今井むつみ『ことばの発達の謎を解く』
並川孝儀『ブッダたちの仏教』